23日に開催された世界保健機関(WHO)の緊急委員会では、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を見送ることを決定しました。現時点ではヒトからヒトへの感染は中国で家庭内と医療関係者に限定されており、世界的な脅威とするには時期尚早であるという判断です。今後、地域内で誰から感染したのかわからない例が出てきた場合、再び検討されるものと思われます。
新型コロナウイルスについては、感染伝播の状況を軽症例・無症候性感染例の頻度も含めてもう少し詳細に評価することが必要です。
新型コロナウイルスはどれぐらい危険なのか?
「感染したらどれぐらい亡くなる可能性があるのか」という「ウイルスそのもの怖さ(病原性)」についても、まだ詳細がわかっていません。
一般的にコロナウイルスの仲間は軽症で済むものから重症になるものまで症状の幅がとても広いのですが、以前のSARSコロナウイルスでは、軽症例は少なかったことがわかっています。これまでのところ、今回の新型コロナウイルス感染での軽症例の割合はよくわかっておりませんが、現状では一定数の感染者の中で、高齢者や基礎疾患のある方など、重症化のリスク因子を持つ方たちが重症化して亡くなっていると考えられています。しかしながら、24日に発表された死亡者の7人にはこれまでで最年少の36歳の男性が含まれており、今後の情報を注視する必要があります。
現在報告されている致死率は、これまでのSARSコロナウイルスやMERSコロナウイルスと比較すると低いですが、把握されている患者数を分母にして計算していますので、もしもより多くの患者さんが軽症例として存在しているのであれば、致死率としてはもっと低くなります。実際にどのくらいの数の人が感染して、どのくらいの人に症状が出て、その中でどのくらいが肺炎を起こし、どのくらいが致命的なのかがわかるまでは、正確な評価はできません。ニュースなどで今後の変化に注意しつつ、以下に述べる対策を取り続けてください。また、現状、日本国内では地域内の感染伝播はありませんので、国内で暮らしている人が心配するようなことはありません。