「UUUM」と「芸能事務所」の大きな違い
「動画再生回数」の減少は、人気ユーチューバーのUUUM脱退という内的要因と、多くの芸能人のYouTube参入という外的要因の両方が考えられます。
「1再生あたりの広告収入」の下落は、YouTube側の規約の変更など、プラットフォーム側の要因が考えられます。いずれにしても売上減少はUUUMにとっては厳しい状況です。
なぜなら、UUUMの「コスト構造」と「事業のライフサイクル」からいって、売上拡大は絶対に必要だからです。
まず「コスト構造」から説明します。YouTubeから受領するアドセンス収益のうち、ユーチューバーへの配分は80%という契約となっています。そのため、UUUMの粗利益率はわずか20%しかないのです。
もちろん、それ以外の収益(企業とのタイアップ案件やグッズ販売など)があるので、会社全体の粗利益率は20%以上ですが、実入りはあまり良くないビジネスといえるでしょう。
UUUMのビジネスモデルは、芸能事務所によく例えられますが、芸能事務所とUUUMには、決定的な違いがあります。
第一に、芸能事務所はテレビ局と芸能人の間に入っててギャラ交渉ができますが、YouTubeのアドセンス収益はほぼ自動的に決められてしまい、交渉の余地はないという点です。
第二に、ユーチューバーのメインの収入であるアドセンス収益は、別にUUUMに所属していなくても受けとることができるという点です。これに対して芸能人の仕事は、ある程度業界内にコネクションがないと、直接仕事をもらうことは困難なので、芸能事務所の存在価値は大きいのです。こう考えると、UUUMは芸能事務所と性質がやや異なります。
高い付加価値が出せないビジネスは、少ない粗利益しか取れません。だから、卸売業や代理店ビジネスと同様、UUUMも売上規模の拡大が、経営上の最重要事項なのです。
しかもUUUMはまだベンチャー企業です。すなわち、「事業のライフサイクル」でいうところの、導入期~成長期というステージです。
多くの投資家が、将来の成長見込みで株を買っていたにもにもかかわらず、その売上高が下落してしまったのだから、株価が下がるのも無理はありません。
しかしながら、第2四半期までの業績だけで結論づけることはできません。しかも、第2四半期は、動画再生回数が落ちやすいという傾向もありますので、第3四半期~第4四半期にかけて盛り返せる可能性は残っています。