「子どもの知識の量」を増やすために家族でやってあげられること
学力の差は「問題の読み解き方」で大きく開く
私たち世代の男の子は、みんな『少年ジャンプ』のような漫画本が大好きでした。
本書の読者である親御さんたちも同様でしょう。そして、長じてからは、推理小説などを読みふけったのではないでしょうか。
しかし、今の子どもたちは動画世代で、漫画の文字すら読むことを面倒がります。小学校の教師も指摘していることですが、親世代の子ども時代と比べ、著しく国語力が落ちているのです。
ところが、日常生活においては会話が成り立ってしまっているため、親は子どもの致命的な国語力不足に気づきにくくなっています。
加えて、男の子の親は「理系が強ければ国語はほどほどでいい」と考え、我が子の国語力にあまり関心を示さないケースがあるのですが、これは大問題です。
もちろん、苦手科目を無理やり克服させようと圧力をかけることには反対です。しかし、理科にしろ、算数にしろ、 「問題文はすべて日本語で出題される」 ということは忘れないようにしましょう。
実際に、「この問題はなにを求めているのか」読み取るのに時間がかかったり、そもそもなにを求められているのかわからなかったりして、差をつけられている子どもたちがたくさんいます。
日本語の文章を読む能力をアップするだけで、国語以外の成績も上がることは間違いのない事実です。では、日本語の読解力のない子どもたちに、それを身につけさせるにはどうすればいいのでしょうか。
英語をほとんど理解できていない人に英字新聞を与えても投げ出してしまうのと同様、いきなり長い文章を読ませても効果は上がりません。まずは、短い一文をきちんと読んで理解させることを積み重ねていくしかありません。
そのときに重要なのが、家庭での会話です。
文字を目で見て理解することを苦手としている子どもたちに、耳からいろいろな単語を繰り返し入れ、わからないようなら説明してあげましょう。
そして、だんだんとその単語の種類やレベルを上げていくことで、子どもたちのボキャブラリーが自然と増えていきます。
こうして、耳から聞いて「知っている」単語は、目で見ても受け入れやすくなり、やがて文章として理解できるようになります。
親による「読み聞かせ」も効果があります。絵本ではなく趣味の本でもいいですが、子どもが興味を持つ文章を、親が読んであげましょう。そのときに、読んでいる部分を指で示していきます。それによって、子どもの中で聞いている「音」と見ている「文字」がつながっていきます。
【著者からのメッセージ】
<大反響! 連載人気ランキング>
第1位:「男の子の学力」を伸ばすために親が知っておきたい育て方
第2位:男の子の学力は「机に向かう姿勢」で9割決まる
第3位:男の子の「折れない心」を育てるためのコツとは?
私は、「進学塾 VAMOS(バモス)」の経営者として、「入塾テストなし・先着順」と生徒を選抜することなく、多くの子どもを難関校へと導いてきました。
「どんな子でも必ず伸びる」という確信が、私にはあります。こと「伸び率」に関して、私はどこの学習塾にも負けない自信があります。それは単に実績の話だけではなく、再現性のある学習メソッドを取り入れているからです。
具体的には本書のなかでお伝えしますが、学力を伸ばす勉強には、明確なロジックがあると考えています。
多くの人は学力をセンスや才能のたまものだと考えていますが、実際にセンスが必要となるのは、ごく一部の天才同士の戦いに限られます。ほとんどの子どもにとっては、そもそもセンスは必要ありません。
また努力は必要ですが、どれだけ長時間勉強しても、正しい努力でない限り結果がともなわないのは、社会人にとっての仕事とまったく同じです。
本書は、学力が伸びるメカニズム、「わかる」ことのブラックボックスを可視化しながら、どんな子でも学力を伸ばせる考え方や手法をお伝えします。
•勉強はしているのに、どうしても子どもの成績が上がらない
•子どもの中学受験を考えていて、もっと効果的な勉強法を知りたい
•受験勉強には反対だが、子どもに将来役立つ学力を身につけてほしい
•子どもに自分から勉強してもらいたいと思っている
•自由放任で育てたら、子どもが全然勉強しないと悩んでいる
•夫婦間で、子どもの勉強への取り組みに熱の違いがある
こうした方に、本書はとくにおすすめです。
多くの人は、子どもの学力を伸ばすために、問題を解く魔法のノウハウや、「センスのいい考え方」を期待するかもしれません。しかし、そうしたものは存在しません。
学力が伸びるプロセスを分解すれば、基礎となる知識の「点」を増やして、それを効果的につなげて「線」にしていくということです。言い換えると、「つながる」ということが、「わかる」ということです。
算数には問題を解く土台としての「九九」がありますが、実はほかの教科にも「九九」にあたる基礎があります。それを反復トレーニングで学び、基礎同士を上手につなげること。学力が伸びる構造は、センスではなくロジックなのです。
本書では、男の子の学力を伸ばすために、親ができることすべてを紹介しました。
まず、序章で「学力を伸ばす基本的な考え方」をまとめています。第1章では、「男の子の本能的な7つの特徴」について、第2章ではその特徴を活かした、「学力を伸ばす5つの絶対法則」について解説します。
第3章では、「考える力を養う13のコツ」、第4章では男の子がとくに苦手な「目標・計画術のテクニック」を紹介します。第5章は、具体的に、算数・国語・理科・社会の成績を効率的に上げる「必修4教科の勉強法」を細かく見ていきます。そして、第6章で男の子が「自主的に学習するための習慣づくり」を、最後の第7章では、「成績を伸ばせる親の習慣術」をまとめていきます。
本書は、あくまで学力を伸ばすための入口に限定していますが、そのために親ができることすべてを1冊で網羅した内容となっています。試せるところから、ぜひ実践してみてください。
子どもたちには、親が考えている以上に潜在的な力があります。
左脳が発達していない男の子は言葉足らずで、親から見るとなんとも頼りなく感じるはずです。しかし、彼らはあるとき、ちょっとしたきっかけで大化けします。ここが、男の子の面白いところです。
本書が、その能力を引き出す一助になれば、著者としてこれ以上嬉しいことはありません。