これは今に始まったことではない。トランプの外交顧問であるヘンリー・キッシンジャーと中国の周恩来首相が、1971年に行った会談にその原点があり、「危ない国・日本」を封じ込めておこうとする思惑は米中両国に今でも色濃く残っているのである。

なぜ日本は成長できないのか

 過去30年間の日本経済は惨憺たるもので、経済は実質ゼロ成長、国民所得もゼロ成長、実質賃金は非正規労働者の増加と消費税の引き上げでかなり下がっている。産業競争力も弱体化し、大手企業の国際的順位が低下している。

 労働法の改悪で非正規社員は非正規社員に固定化されており、所得格差の拡大で中産階級が衰退し、階級の固定化が見られる。

 なぜこんな国になってしまったのか。

 冷戦終了後に米国からの年次要望書で新自由主義という考えが導入され、国民の富を「99%の国民から1%の国民へ集中していく」という経済政策が採用されたからである。

 米国の年次要望書を実行したのは小泉内閣(2001~2006年)であり、「小さい政府」を目標とした緊縮財政、財政赤字を解消するための「基礎的財政収支(プライマリーバランス)を10年で均衡させる」というデフレ政策が導入された。

 このデフレ型財政規律で経済成長が止まり、生産人口の低下が加わって経済規模がゼロ成長になってしまったのだ。さらに規制緩和と称して労働法を改悪し、実質的な解雇自由、非正規雇用を全業種に拡大して、労働者の賃金水準を落とす政策を導入した。

 この流れは安倍内閣が引き継ぎ、一段と踏み込んで「消費税率引き上げ」「大企業の法人税率引き下げ」政策をとっている。

 米国がなぜ日本に新自由主義政策で「小さい政府」「労働法改悪」を要求してきたのか。