飛沫感染と接触感染を防ぐには「マスクより手洗い」

 現段階であえてお伝えしたいのは、「マスクより手洗い」が重要だということです。帰宅後すぐにあちこちを触る前に、アルコール消毒をするか、せっけんを使って手洗いしましょう。特に不特定多数の人が使用するトイレでは入念に手を洗いましょう。コロナウイルスは「エンベロープ」という膜を持っていますが、せっけんに入っている界面活性剤やアルコール性手指消毒剤はこれを壊し、ウイルスを不活化、つまり殺します。

 なお、手を洗った後にアルコールを使用する場合は、水をよく切ってからにしてください。洗った後の手は、できれば使い捨て紙タオルで拭くのが望ましいです。繰り返し使うタオルは感染源になりかねません。

 うがいは感染予防自体にはあまり効果は期待できません。ウイルスは気道粘膜に付着してから数分で体内に侵入するからです。うがいはウイルスを殺すというよりも、喉の乾燥を防ぎ、粘膜のウイルス排除機能を高めるという意味の方が強いと思われます。

 以上を実践していれば、外で拾ってきたウイルスなどの病原体を体内に取り込んでしまう可能性は低くなります。

 それでも気になる方は、1日中着ていたコートなどは玄関前ではたき、玄関のドアノブやスマートフォンなど、日常的に外出先や電車内などで取り出して触れる機会がある物については、アルコールの入った除菌ティッシュなどでふき取る方法もあります。

 自宅は病院と異なり、さまざまなウイルスや細菌が行き交う場所ではありません。もちろん、外でいろいろな病原体と遭遇しているとは思いますが、それらをすべてシャットアウトすることは不可能です。

 上記の行動により外から持ち帰ってきたウイルスなどの病原体を減らすこと、そして何よりも大切なのは、体力・免疫力を保つことです。私たちの免疫システムは、粘膜に付着したウイルスを排除し、体内に侵入したウイルスを駆逐する機能を持っています。その機能を十分に働かせるには、十分な睡眠とバランスのよい食事、適度な運動を心掛けるようにしてください。

(本記事はOpenDoctors[オープンドクターズ]からの提供記事です)