(3)使えるか使えないか

 企業というのは基本的に能力主義、業績主義で運営され、利益を上げることが目的の組織である。ゆえに、利益、成果を出したらそれに対して報酬を与えるし、そのための能力を評価するという仕組みは大変わかりやすい。

 こうした仕組みのため、使える人は使われて評価されるし、使えない人は評価されない。ごく自然なことである。しかし、使える人が必ずしも良い成果を出すとは限らない。上司からの評価は、以下の4象限で変わってくるだろう。

 部下として使いやすくて、しかも成果を出す人はいいとして、上司が使いにくくても、成果を出すという部下はいる。客観的に考えれば、成果を出す人が評価されるべきなのだが、自信のない上司は「扱いにくい」というだけでバツをつけるかもしれない。また面倒だから使えないことにして遠ざけてしまうということもありうる。そうなると、上司から見た「使いやすさ」もまた、実際の能力や業績とは必ずしも結びつかず、なかなか一筋縄でいかないということになる。

(4)好きか嫌いか

 これはもう本能レベル、生理的なレベルの問題である。そして、実は最初に好きか嫌いかということで無意識の評価がなされ、それが(1)から(3)に影響する。マネジメントの教科書には「好き嫌いという評価軸は封印せよ」と書いてあるが、その影響を色濃く受けることにあらがうことはできないだろう。

 上司は反抗的な部下が嫌いだし、挑戦されるのも嫌いだし、実力的に肉薄してくるものも嫌いだし、使いにくいのも嫌いだ。

 ただ、これらを超えての“相性”というのはあり、相手のことを好きであればなんだかんだいっても評価してしまい、嫌いであれば悪く評価するという露骨な人もいる。

 人によっては細心の注意を払ってニュートラルを装い、本人の好悪が評価に影響しないかのように見える人もいるが、実際には本音ベースの好き嫌いが「人間としての評価」を決めている。