さて、(1)~(4)の視点を踏まえて、上司から見た部下を分類してみると、グラデーションのようにタイプは分かれていく。

 Aは絶対に味方である。現在の上司との差が大きい。将来的には楽しみな存在でもある。使いやすく、しかも成果を出す。何より好きである。上司はこういう部下には目をかける。

 Bはこれに対して対極にある。現在の力量差は小さく、ポテンシャルは相対的に自分より上である。使いにくく、自分の思い通りの成果を出さない。そして、嫌いである。

 そしてAとBの間に位置するたくさんのC。味方といえば味方ではある。力量差は大きく開いており、部下のポテンシャルは小さい。使いやすいかもしれないが、取り立てて成果を出すわけではない。好きでも嫌いでもない。

上司が一番興味を持てないのは
「好きでも嫌いでもない」部下

 いや、とはいえ大人であるし、仮にも仕事の場であるし……などと思っているようでは甘い。どう取り繕うとも、このような基本構造の上に仕事の評価がなされているのである。ここでビハインドを負ってしまうと、よほど仕事で成果を出さない限り逆転できない 。

 では、ここでいう不利な人とはだれか。上司がAのことをよく見ているのは当然だ。一方で、Bは嫌いだからこそ、敵だからこそ、自分が寝首をかかれないように、注視を怠らない。従って、時にはA以上に一挙手一投足に注目している。だから仮に成果を出せば、褒めざるを得なくなる。

 その中間にいるCは、正直どうでもいいと思っている。下手をすればノイズである。普段からそれほど注目していない。部下はともすれば、上司は必ず見てくれているはずという幻想を抱きがちだが、部下の思いは届いていない。自分のことをよく見てくれている、わかってくれているなどとゆめゆめ考えてはいけない。上司も時間的なリソースにせよ、知的リソースにせよ有限であるから、自分が気になっているところしか見ていないのも致し方ないことなのだ。自分の地位を脅かす可能性もなければ、めでてもたいして恩恵もないCの細かい行動にまで気を配るように期待するのは、無理でもあるしかわいそうでもある。