日本では、営業利益率10%以上、連結売上高900億円以上の上場企業は200社弱(直近の決算資料)あり、「新たな課税権」に直面する利益率10%を超える利益額(会計上の利益)は、9兆円前後と試算される。

 この中から、「自動化されたデジタルサービス」と「消費者向けビジネス」で、ブランド力を背景に海外売上比率が高く諸外国から収入を得ている企業が課税対象になる。

制度作りの課題残る
利益率や配分比率はこれから

 自動運転などのデータビジネスやブランド製品などがどこまで含まれるのか、第2の柱の具体的内容がどうなるのかなど現段階では不明だ。

 基本的には、無形資産を低税率国に移転させるなどのタックスプランニングを行っている多国籍企業の場合は税負担増となり、そうでない企業は、納税額の変化はほとんどないと考えられる。

 あくまで租税回避を行っている企業が課税強化の対象になるわけで、そこにこのプロジェクトの意義が認められるといえよう。

欧州と米国で不協和音
新興国は「新課税権」拡大求める

 デジタル課税を巡っては、各国の利害が異なる中で今回の基本合意に至るまでも不協和音が起きていた。

 欧州では、欧州委員会が2年ほど前、デジタル広告やマーケットプレイスの売り上げなどにEU統一のデジタルサービス税(DST)を課す提案したが、アイルランドなどが反対し頓挫した。

 そこで、フランス、英国などは、OECDの議論に参加しつつ、合意ができるまでの間は独自でDSTを導入することを決めた。

 フランスは、オンライン広告の販売、デジタルプラットフォームの提供、ユーザーの情報データの販売などの売り上げに3%の間接税(indirect tax)を課すことにし、外国事業者には登録させ、全世界収益が年間7億5000万ユーロ以上などの大企業に限定し、2019年1月から課税を実行している。

 これに対しトランプ政権はフランスの輸出品に対して制裁関税を課すとプレッシャーをかけた。いま、フランスは2020年分以降については課税を凍結している。