なぜウォーキングだけで、
自動的に勉強習慣が身についたのか?
勉強の習慣化は、「すべり台」をイメージしていただけるとわかりやすいと思います。階段を上ってすべり始めたら、もう止まることはありません。自分で頑張らなくても、力を入れなくても、自動的にすべることができます。
勉強が苦手、続かないという人は、すべる手前の階段を上るのがつらいと思っているのです。上るまでには準備が必要ですが、そこを乗り越えれば、もう難しくないのです。
この浪人生の場合は、ウォーキングがきっかけで階段を上ることができ、あとは自動的に勉強習慣が身についたと言えるでしょう。
その受講生とは逆に、もとから勉強の習慣ができている子たちもいました。なぜだろうと共通点を探してみたところ、ほとんど全員がほかの塾などの自習室に歩いて通っていました。これも歩くことで脳が活性化しているからだと私は考えています。
また、マイナス思考の受講生が、ウォーキングを習慣にしたところ、ポジティブになったという例もあります。成績は悪くないのに合格できるかどうか不安に思っている受講生がけっこう多いのですが、彼らにも私は歩くことをすすめています。
歩くときは、姿勢も大切です。
背筋を伸ばし、早足でキビキビと、目線はまっすぐ前を見るようにします。歩く時間は、最低20分を目安にしてください。
カバンを手に持つよりも、リュックサックを背負うのがおすすめです。両手があいていたほうが、腕を振ってテンポよく歩けるからです。
とくに、晴れた日の朝に歩くと充実感が全然違います。ぜひ試してみてください。
勉強において、頭だけ働かせるのはあまり有効ではありません。
脳はバランスをとるようにできているので、体を動かさないと頭も使わない方向にいってしまうと言われています。
私の友人にも、高校時代に運動をしていたのが勉強に専念して体を動かさなくなった途端、成績が落ちたという人が何人もいます。頭も体も動かすことが脳を活性化させ、勉強に必要なあらゆる力を引き出してくれます。
そして、ウォーキングには、2つのパターンがあります。
一つは、疲れたときのリフレッシュとして歩く場合です。私は、好きな音楽を聴きながら歩くようにしています。自分の歩幅に合うリズムの、テンポのいい曲をセレクトするのがポイントです。歩いてから家に戻れば勉強の効率が上がりますし、歩いた先の公園などでそのまま勉強してしまうこともあります。
もう一つは、歩きながら勉強するパターンです。すでにご紹介した「イマナニ法」や「立場スイッチ法」を、歩いているときにもやるのです。
考えながら歩くことで、論理力を鍛えるとともに、勉強したことが脳のなかで自然に整理され、記憶の定着率も一段とアップします。