とはいえ、長年しみついた「英語=苦しいもの、難しいもの」という意識は、すぐにはぬぐえないかもしれません。そこで、実際に英語に取りかかる前に、英語に対する意識改革をしてみましょう。意識改革というと大げさですが、ちょっとした心構えをしておくのです。とくに大人の英語習得のポイントとして、私が強調したいのは次の3つの点です。

(1)英語に対して親しみ(ファミリアリティ)を持つ
(2)英語に対して好奇心(興味、関心)を持つ
(3)英語をマスターする目標を持つ(マインドセット)

 以下この3つのポイントについて、それぞれどうすればよいのか、詳しく説明していきましょう。

(1)英語に対して親しみ(ファミリアリティ)を持つ

 子どもでも大人でもそうですが、記憶と感情には密接な相関関係があります。どなたも経験的に理解できるかと思いますが、楽しい思い出はいつまでも心に残り、嫌なことはいつのまにか忘れてしまいます。これは、嫌なことは早く忘れたいという人間の生存本能なのかもしれません。

 このことは、脳医学的にも理屈に合っています。脳内には「情動の中枢」といわれる「扁桃体」と呼ばれる直径わずか1センチほどの小さな器官があり、外から入ってきた情報に対して、「快・不快、好き・嫌い、おもしろい・つまらない」などの仕分けをしています。この扁桃体で、「おもしろい、楽しい、好き」と判断されると、快感ややる気を生み出す神経伝達物質ドーパミンが分泌され、脳を刺激して活性化してくれます。

 実は、この扁桃体のある場所というのが、先ほど説明した「記憶の中枢」である海馬のすぐ近くなのです。さらに、扁桃体と海馬とが密接に関係し合って、感情と記憶に密接な相関があるという研究が数多く報告されています。ですから、楽しい思い出が、いつまでも心に残っていくのも、扁桃体と海馬との協力関係があるためと考えられています。つまり、英語をしっかりと身につけたければ、「快」の感情を持って楽しく英語に接することで、より効果が高くなるということです。