『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』などのベストセラーで知られる精神科医・作家の樺沢紫苑さん。
現在、著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』が人気沸騰中の精神科医Tomyさん。
ふたりは精神科医でありながら、Twitter、Facebook、YouTube、ブログなどを通じて、人生のアドバイスを発信し、多くの読者を獲得しているという共通点を持つ。
今回は、そんなふたりが、SNSによる情報発信を始めたワケ、アドバイスをするときのスタンス、そして読者から寄せられたお悩みにも直接回答!
濃密なスペシャル対談をお届けする。
樺沢先生 Tomy先生はお悩み相談を受けるとき、どんなことを意識していますか?
Tomy先生 精神療法では「傾聴」や「共感」が重視されますが、アテクシはあまり重視していません。傾聴や共感をすると、患者さんは「話を聞いてもらえる場所がある」と思います。それが当たり前になってしまうと、かえって怒りとか不安が出やすくなるんです。
ふつうは、自分が思っていることを好き勝手に話せる場所ってそんなにありません。だから、みんな我慢したり自分で解決できたりしているわけです。
人によっては、傾聴や共感をしてもらえる場があることで、自分でこらえたり解決したりする力が失われることがあるんです。アテクシの場合は、あえて素っ気なく回答したり、話を聞く前に先にアドバイスしたりしています。
樺沢先生 あえて話をさせないということですね。
Tomy先生 そうです。外来は結構忙しいので、患者さんの話をさえぎってしまう必要も出てきます。でも人って、どんなに話を聞いてもらっても、途中でさえぎられると不愉快に思うんです。だから、「傾聴」と「共感」のスタイルでは、時間がかかる割に満足度が上がらない。
こちらは数多くの診療経験がありますから、患者さんが困っていそうなことを先にポンポン言うと、聞く姿勢になってくれるし、「いい話を聞いた」と思ってもらえます。もちろん、患者さんのタイプを見極めながらですけど、最近はそういうやり方を意識していますね。
樺沢先生 私の場合は、どちらかというと「体調を整えること」を重視しています。これまで心理療法など、いろいろやってみたんですけど、こちらが一生懸命やっても、かえって患者さんのほうが引いてしまうケースが多い。「労多くして益少なし」のもどかしさを感じていたんです。
体調が悪いときに心理的なことを掘り下げていっても、結局は堂々巡りでかえって悪化してしまう恐れさえあります。それよりは、ちゃんと睡眠を取って運動をして、朝散歩をするほうが断然効果的です。
「睡眠・運動・朝散歩で9割治る」といっても過言ではありません。体調が整って気分が少しよくなれば、本人が自分で問題の原因に気づいて勝手に解決してしまうこともあるんです。
Tomy先生 同感です。正直、心理的な問題の原因を掘り下げるだけでは、あまりいいことはないですよね。原因を探ることで、むしろ体調が悪くなるケースのほうが多いように思います。
樺沢先生 患者さんに相当な覚悟がないと無理ですね。だからアドラー心理学が「過去を不問にする」というのは、非常に理にかなっている。
Tomy先生 過去をほじくらないで解決するベストな方法が、体調を整えてもらうことですよね。まずは、やはり体調をよくすることが大事だと思います。
【次回へ続く】