老後対策ではじめた株式投資。
その顛末は……

 こうして、老後のことは自分でなんとかしなければいけないと思って始めたのが株式投資でした。最初は順調に資産が増えたので、自分の実力だと勘違いして調子に乗ってしまい、気づいたら多額の借金をして株式投資につぎ込むようになっていたのです。

 ところが2006年に突如ライブドアショックが発生。翌年の2007年にはサブプライムショック。2008年には追い打ちをかけるようにリーマンショックと続いたのです。

 こうして私は、あっという間に破産寸前にまで追い込まれてしまったのです。さすがにしばらくは立ち直れませんでした。お金のプロとして金融知識を駆使したのに、なぜ失敗したのか。破産寸前のどん底で毎晩考え続けました。そしてようやく、3つの大切なことに気づいたのです。

 1つ目は、情報量とスピードで私たち素人はプロのトレーダーには敵わない、ということ。

 2つ目は、そのプロのトレーダーでさえ利益を出し続けることができないので、お客さんからもらう手数料で生活せざるを得ない、ということ。

 3つ目は、お金とは感謝の気持ちなので、人さまから感謝されて初めてもらえるものだ、ということ。

 どんなに知識とノウハウを駆使して株を売買しても、人さまから喜ばれなければお金はもらえません。

 そして、そもそも株価が将来どうなるかを予測することは不可能です。プロであっても株やFXでもうけ続けるのが難しいことは、ノーベル賞受賞者4人(ウィリアム・フォーサイス・シャープ、ハリー・マックス・マーコウィッツ、ジェームズ・トービン、ユージン・ファーマ)によって証明されています。つまり再現性がないのです。

 マネーゲームという言葉がありますが、真っ先に連想されるのが株式投資です。ゲームとは勝ち負けを楽しむ娯楽のこと。本物の戦(いくさ)なら死にますが、スポーツや将棋のようにゲーム化することで、命を失わずにスリルを楽しんだり、知略を楽しんだりできます。