今、ほんの直径100ナノメートル(ナノ=10億分の1)程度にすぎないウイルスによって、日本経済のヒト・モノ・カネの流れが断たれようとしている。

 国内サービス業を支えてきた訪日客が一挙に去り、日本人は外出を控えている(ヒト)。中国などとのサプライチェーン(モノ)も行き詰まったままだ。

 最大の懸念は、ヒト、モノの停滞により中小企業が資金繰り(カネ)に困窮、倒産が相次ぎかねない点にある。ヒト、モノに比べてカネへの大きな打撃(倒産)は遅れて出てくるかもしれないが、回復が最も困難なのだ。

 日本にとって、新型コロナ禍が訪れたタイミングは最悪だった。昨秋に大型台風や消費増税の影響を受けた上、暖冬も消費を下押し。そうして2019年10~12月期のGDP(国内総生産)は前期比年率7.1%減に落ち込んだ。

 景気後退に陥る可能性が高まる中、中小企業の資金繰り危機は水面下で火種を抱えていたのだ。既に「コロナ倒産」も表面化しているが、危機は序章にすぎない。

 この先の消費環境を見れば、景気悪化により、ただでさえ伸び悩んでいた賃上げは鈍化が必至。さらに、東京五輪が中止となれば、期待されていた訪日需要が一気にそがれるなど好材料には乏しい。

 ウイルスは大地震のように生産設備へ物理的なダメージを与えるわけではない。感染が終息すれば経済活動はすぐに回復を目指すだろう。

 だが、「その間に企業の資金繰りが悪化して倒産が増えれば、リーマンショック級の深刻な景気後退に陥りかねない」(SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミスト)と、「100年に1度」といわれた危機レベルの再来を危惧する声すら浮上している。