特に厳しい地方
三越伊勢丹HD傘下2社が3期連続赤字
大量のスーツケースや紙袋を抱えた中国系の買い物客の姿がすっかり消えた街並みを見れば、さもありなんである。政府が各国からの入国を制限していることを考慮すれば、インバウンド需要が早期に回復する見込みはない。
一方、もともと厳しい経営状態にあった地方の地場の百貨店が、より危機的な状況に追い込まれることは、もはや避けられないだろう。
下図は、全国百貨店協会に加盟している百貨店のうち、直近までの3期連続で最終赤字に陥った企業である(札幌丸井三越を除く数字は最新の期の業績)。
とりわけ目立つのは、人口減少が特に激しい地方都市に立地する百貨店だ。
若年世代の客層は郊外の大型ショッピングセンターに奪われており、主要顧客は高齢者だ。この世代は若年層と比べて新型コロナの重症化リスクが高く、外出を手控える傾向が強い。
地方都市の百貨店にとって、頼りになる大口顧客は地方の資産家だ。しかし株安がこの上顧客を直撃している。日経平均株価は3月18日の終値で1万7000円を切った。資産効果が“逆回転”することで、富裕層の消費意欲がいや応なしに減退する。
3期連続赤字の百貨店を地域別に見ていくと、中国地方で三越伊勢丹HD傘下の広島三越と、地場の福屋の2社が入っている。