これから住宅ローンの金利はどうなるのか?「変動金利型」「フラット35」「10年固定」、それぞれについて住宅ローン金利の動向を予測します。また、繰り上げ返済の『間違った認識」についても、ファイナンシャル・プランナー・浅井秀一が、ズバリ解説します。

「変動金利型」はしばらくこの水準が続く

浅井秀一(あさい・しゅういち) [ファイナンシャル・プランナー(CFP)] 1964年、愛知県生まれ。福井県高浜町育ち。早稲田大学第一文学部卒業。1988年に学生では初の日本FP協会の会員となる。現在は、主に個人のプランニング業務を中心とする、(有)ストックアンドフローの代表取締役として活躍中。 著書には、借り換え・繰り上げ返済ブームをおこしベストセラーとなった『住宅ローンは、いま借り換え・繰り上げ返済しなさい!』(ダイヤモンド社)、『図解わかる住宅ローン〈2012‐2013年版〉』(新星出版社)、『佐藤江梨子と浅井秀一のいちばんやさしいマネープラン』(日本経済新聞社)などがある。 撮影:安海関二

  この連載もいよいよ最終回となりました。
  今回は、今後の住宅ローン金利の予想などについてお伝えします。

  まず、短期金利に連動して動く「変動金利型」については、現在、0.875%の優遇金利を適用するところが多くなっており、なかには0.775%など、これより低い水準を設定する金融機関もあります。
  また、JA(農協)や信用金庫、一部の地方銀行では、担当者との交渉によっては、これ以下の金利が適用される地域もあるようです。

  短期金利が上昇する局面がやってくるとしたら、景気がよくなるか、物価が上がるかのどちらかです。
  このうち、景気については、債務危機に苦しむ欧州や、ついに悪い経済指標が出始めた中国などの状況を見る限り、しばらくの間、世界経済は悪い方向で進みそうな状況です。残念ながら、日本の景気も金利上昇を伴うほどに改善されるとは思えません。

 一方、物価についても、日本だけのデフレが先進国にも波及し始めた昨今、すぐに上昇に転じる可能性は少ないでしょう。2014年4月からの二段階にわたる消費税増税が決まりましたが、この増税による物価上昇は継続的なものではありませんので、金利上昇につながることはないでしょう。

 金融機関の住宅ローン貸出競争も当分続くでしょうから、数年単位で、変動金利型ローンの金利水準は「ゼロ%台」が続くものと予想します