プロゲーマーのネクストキャリア

――プロゲーマーのネクストキャリアについても聞かせてください。後輩育成、ゲーム解説以外の道として、就職を応援する企業はありますか?

山内 弊社では、社員として元プロゲーマーを数名雇用しています。ゲームはジャンルも細分化しているし、ファン心理を掴むのが難しい。ただ業界に詳しいだけではなくて「消費者の本音がわかる人」が社内にいることは強みのひとつになります。新規事業開発、事業をグロースさせるときには彼らに中心リーダーになってもらって、プロジェクトを進めることもあります。
もちろんゲームがうまいだけではなく「企業カルチャーにマッチしているか」「一緒に働きたいか」という点は一番大事にしています。

ときど ゲームはコミュニティごとに、空気感がまったく違いますからね。「元プレイヤー」がいれば、心強いですね。ユーザーのことを理解しないが故の「炎上リスク」も減りそうです。
僕は学生時代、卒業後は公務員になるかプロゲーマーになるかで悩んでいたんですけど、eスポーツに参入している企業があることを知っていたら、就職先の選択肢として考えたかったです。

山内 プロゲーマーになるって、狭き門ですよね。第一線で活躍しているときどさんだって、未だに不安というくらいなんですから。だから、
・第一線で活躍する
・プロとしてはまだまだだが、インターネット配信で食っていく
・元プロが、企業に就職する
という感じで、「食っていく」の選択肢がもっと広がるといいなと思います。

僕らはプラットフォーマーとして「OPENREC.tv」の配信主が、きちんとマネタイズできるようにしたいですね。課金システムも、近々発表予定です。
課題は、日本と海外で、ファンカルチャーってだいぶ違うこと。ファンからの投げ銭システムも、海外だと「寄付」の感覚ですが、日本の場合、ファンクラブ会報のように、対価を求められます。クラウドファンディングも、基本的にはリターンがセットになりますよね。
日本で投げ銭文化をしっかり根付かせるためには、何をリターンとして提供するのかを、ファンにしっかり可視化することが大事だと思っています。

ときど 韓国だと、すでにストリーミングで投げ銭する文化があると聞きました。日本と近いから、感覚も似ているのかと思っていたんですが、国によって大分違うんですね。

山内 さらに今後はネットだけでなく、リアルなコミュニティがさらに重要になっていくと思います。ゲームのTVCM出稿は、数年前から減ってきました。最近ではリアルイベントを開催して、Twitterトレンドをとったほうが費用対効果がいいんですよね。ネットで調べるだけでなく、実際に現場で触れたものをネットで発信したいという人が多い。今後も、時代に合わせた企画を展開していきます。