日米欧のコロナ危機を
プロパガンダに利用

 文政権の支持が回復している背景には、欧米や日本の新型コロナまん延をうまく利用しているということも指摘しておきたい。

 文政権の主張は「欧米における爆発的な感染の拡大と死者の増大があるが、それに引き換え韓国の感染者と死者はともに安定的に抑制されている」というものである。

 この数週間、文政権は「世界各国が韓国の新型コロナ対応を評価している」というプロパガンダを強化している。これに全面協力しているのが左系メディアのハンギョレ新聞である。

 「『韓国型防疫モデル』全世界が共有」「韓国に防御壁を築いた国々が『韓国の新型コロナ対応から学ぼう』と言っている」といった記事を掲載。さらに、連日のように「韓国の積極的な検査体制が世界の模範になった」と報じている。

 極め付きは文在寅大統領の電話首脳会談で、「トランプ大統領が韓国の診断キットを要請した」「メルケル首相も韓国から学ぼうとしている」という内容に会談結果を曲解してしまった。

 『デイリー新潮』にて鈴置高史氏が「コロナ対策で『文在寅』の人気急上昇 選挙を控え『韓国すごいぞ!』と国民を“洗脳”」で指摘しているように、韓国国民は世界が韓国を評価していることに歓喜する傾向がある。これをうまく活用しているのである。

 日本については、検査の在り方について韓国との違いを強調し、韓国の対応の方が優れているというイメージを喧伝している。韓国は全員検査で感染を抑えている反面、日本は検査を避け、感染者数を低く公表し、隠ぺいを図っているというのが、韓国の主張だ。だが、日本の感染者数が少ないのは、検査が少ないということだけが理由だとは言い切れないのではないだろうか。

 その他にも、韓国メディアは日本の対応の欠点を一生懸命探してきた。2日も、比較的保守系の報道の多い中央日報でさえ、日本経済新聞が報じた「日本のPCR検査1日2000件はドイツの17分の1」で、「世界に後れをとっている」(日本経済新聞)ことを紹介した。また、日本のクルーズ船対応の失敗についても、ロシア外務省がクルーズ船対応は『カオス』だと批判したことを大きく取り上げた。

 確かに日本の新型コロナ対応は問題が多い。「何もしたくない政権」と「『できません』を繰り返す省」で感染拡大を防げるか疑問が多い。日本医師会や東京都、大阪府が緊急事態宣言を求めているのは、このままでは感染が一層広まり、医療崩壊を招き、将来的にはオーバーシュートになりかねないと懸念しているからである。

 緊急事態を宣言することで経済への悪影響は避けられないだろう。しかし、このまま東京都や大阪府などが求める自粛だけで感染者が抑えられないことは、感染者の急増が物語っている。このような時に必要な対策を取らなくてどうするのかと思う。

 いずれにせよだが、文政権に日本の新型コロナの対応の失敗をあれこれと指摘され、文政権にとって選挙戦が有利に進むように利用されるのは非常に残念なことである。