全粒穀物をたくさん食べる人ほど高血圧になりにくい
玄米など、糠を除去していない全粒穀物の摂取頻度が高いほど高血圧になりにくいことが、日本人対象の研究から明らかになった。国立国際医療研究センター疫学・予防研究部の樫野いく子氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」3月26日オンライン版に掲載された。
全粒穀物は白米などの精製された穀物よりも健康上の利点が多く、全粒穀物摂取が高血圧リスクを低下させるとの海外からの報告もある。しかし、日本人は高血圧の頻度が高いにもかかわらず全粒穀物の摂取量が世界で最も少ないレベルで、また日本人の全粒穀物摂取量と高血圧リスクを検討した研究データは少ない。
こうした中、樫野氏らは企業勤務者を対象に行われている古河栄養健康研究(代表者は同研究センターの溝上哲也氏)の一環として、全粒穀物摂取と高血圧リスクの関係を探る前向き縦断研究を行った。
調査への参加に同意した人から、既に高血圧と診断されている人などを除いた1483人を研究に登録し3年間追跡した。3年後に追跡が可能だったのは952人(年齢39.9±8.6歳、女性11.7%、BMI22.5±2.9kg/m2)で、血圧のデータに不備があった8人を除く944人を解析対象とした。
ベースライン時のアンケート調査で、全粒穀類の摂取頻度について「玄米・胚芽米を食べたり、ご飯に麦や雑穀を混ぜて食べるか」と質問。その回答から全粒穀物の摂取頻度を3群に分けると、「時々またはいつも摂取する」群が193人、「まれに摂取する」群が221人、「全く摂取しない」群が530人だった。3群間に年齢や男女比の有意差はなかった。