3年間の追跡で89人(9.4%)が高血圧を発症した。全粒穀物を「全く摂取しない」群を基準とし、高血圧発症リスクを多重ロジスティック回帰分析で検討すると、年齢、性別および勤務地を調整因子とするモデル1では、「時々またはいつも摂取する」群でオッズ比(OR)0.35(95%信頼区間0.16~0.77)となり、有意なリスク低下が認められた(傾向性P=0.02)。
調整因子にBMI、喫煙・飲酒・運動習慣、勤務状況、食習慣(摂取エネルギー量や高血圧との関連が報告されている食品摂取量)を加えたモデル2でも、「時々またはいつも摂取する」群はOR0.36(同0.16~0.83)で、有意に低リスクだった(傾向性P=0.04)。なお、「まれに摂取する」群については、モデル1、2のいずれでも「全く摂取しない」群と有意な差がなかった。
次に、ベースライン時と3年後に行ったアンケートで2回とも全粒穀物を「全く摂取しない」と答えた人(401人)と、2回とも「時々またはいつも摂取する」と答えた人(112人)とで高血圧発症リスクを比較。すると、2回とも「時々またはいつも摂取する」と答えた人のリスクは、モデル1でOR0.32(同0.11~0.92)、モデル2ではOR0.20(同0.05~0.73)であり、より大きなリスク低下が認められた。
これらの結果について研究グループは、解析対象に占める女性の割合が低かったことなどを研究上の限界点として挙げた上で、「全粒穀物の摂取頻度が高いことが高血圧リスクの低下につながるという有意な関連が、日本人対象縦断研究でも確認された」とまとめている。(HealthDay News 2020年4月27日)
Abstract/Full Text
https://www.mdpi.com/2072-6643/12/4/902
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