しかし、事態はそれほど簡単ではない。いくつかの懸念点がある。まず一点目に、テレワークにおいても家事・育児負担が「女性」に偏り続けていることだ。先ほどの調査からデータを見てみよう。
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サンプル数は十分とはいえないが、テレワーク実施者のうち未就学児、または小学生の子どもを持つ親の負荷が高く、さらに同じ親でもやはり「女性」に負荷が偏っている。これまで日本の男女差が著しいことはかねて指摘され続けてきた。2016年「社会生活基本調査」(総務省)によれば、子どもがいる世帯の女性の家事育児時間は1日平均7時間34分、男性は1時間23分だ。国際的に見ても圧倒的に男性の家事・育児時間が少なく、女性に偏っている。コロナ禍の急な在宅勤務への移行でも、その偏りが引き継がれてしまっていそうだ。
子どもの世話をしながらのテレワークは極めて負担感が高く、業務効率も悪くなる。遠隔会議も、自宅に一定のプライベートスペースがなければうまく進められない。結果的に、長時間、オンオフの切り替えなく働いてしまいがちだ。男性育休の推進などの動きが真っただ中であり、男性の育児参加を促す流れも途切れてはいないが、急速に働き方自体が変化してしまった。