とある美術教師による初著書にもかかわらず、各界のオピニオンリーダーらやメディアから絶賛され、発売3ヵ月で5万部超という異例のヒット作となった『13歳からのアート思考』。先行きが不透明な時代だからこそ知っておきたい「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、「自分なりの答え」を生み出す思考法とは? 同書より一部を抜粋してお届けする。

利休が自らプロデュースした茶碗、<br />「美しさ」が取り除かれているのはなぜ?Photo: Adobe Stock

デュシャン顔負けの「問題作」の茶碗

前回まではデュシャンの《泉》を手がかりにしながら、「アートの『常識』ってどんなもの?」という問いについて考えてきました。今回は同じ問いについてもう1つ「別の角度」から考えてみたいと思います。

取り上げる作品は《黒楽茶碗 銘俊寛》。

茶道の大家・千利休が自らプロデュースし、長次郎という職人に特注でつくらせた逸品です。利休はシリーズでいくつもの「黒楽茶碗」をつくらせ、茶会で好んで用いていました。

重要文化財にも指定されているこの茶碗についてのある解説文をご紹介しましょう。

「……(承前)本碗はつとに名高いものである。柔らかみのある端正な姿に黒釉がよく調和し、落ち着いた佇まいを示す長次郎の黒楽茶碗の優作である」(文化庁「文化遺産オンライン」より)

さて、ずいぶんとハードルが上がっていますが……どんな作品なのでしょうか。

気になる方はこちらのリンクをご覧ください。

https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/166215