雇用に手を付けるのは
「本当にごめんなさい」の時
――借り入れは融資枠(契約で定めた金額内であれば、審査なしで融資を受けられる仕組み)ですか、それとも実際の融資ですか。
実際にお金を借りました。融資枠は信用していないので。3月上旬に実行されて会社の借金は増えちゃいましたが、その代わりキャッシュができました。これから何が起こるかにもよりますが、僕が考えている最悪のシナリオで推移しても、2年生き残れる金額です。
――第3のシナリオでも、2年生き延びることができる?
大丈夫です。取引先にも2月下旬ぐらいに、「今のうちに借りたほうがいいですよ」と言っていました。でも多くの人は、「キャッシュは十分にあるから」とか、「銀行との付き合いがちゃんとしているから、もしもの時も大丈夫」と言っていました。普段ちゃんと付き合っていても、人が変わるのが銀行なのにな……と僕は思いましたが、お節介だからそれ以上言わなかった。みなさん、後で悔やんでいましたね。
――上場企業とはいえ、大企業ではないブシロードは、銀行から後回しにされると考えたのですか。
当然、そうですよ。銀行の言うことは変わるものですよ。僕は、前の会社(ブロッコリー)でお金に苦労したから、なおさらそう考えます。
――感染防止をする、事業のシフトを図る、キャッシュを集める。これらを全部やった後で、それでも効果がなくなった時に雇用に手を付けるという順序ですか。
そうですね、本当にごめんなさい状態になった場合。頭を下げるしかない状態になった時のことでしょう。
――経営破綻するしかなくなったとき。
今は社員には、「とにかくコンテンツを発信し続けてくれ、宣伝情報も発信し続けてくれ」と言っています。だって僕らがやっているエンターテインメントのビジネスって、社会が暗い時の電灯みたいなものですから。
田舎の真っ暗な道に電灯があると、そこに虫が来るじゃないですか。それと同じように、明るいところ、盛り上がっている情報にお客さんは集まる。とにかく今はお客さんに、明るく前向きな気持ちになってもらうことを考えています。
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