わが社の緊急事態宣言は
2月中旬に発令された
僕は2月17日に、ブシロードの緊急事態宣言を出したんですよ。全体朝礼で「This is war、戦争だ」と宣言して、役員にもどういう事態になるか説明した。その週末のイベントも全部中止です。
それから、当社の緊急事態宣言を出したその日に、ノートパソコンを秋葉原と新宿に買いに行かせました。在宅ワークで必要だから、これから絶対に手に入りにくくなると思ったんです。在宅ワークと時差通勤はすぐに取り入れて、宣言直後には社員の2割ぐらいが在宅ワークになりました。政府が緊急事態宣言を発令したときには8割ぐらいが在宅勤務になっていましたね。
――なぜそんなに対応が早かったのですか。
今のような事態になると思ったからです。僕は1月半ばから「中国であんなにはやって、日本ではやらないはずがない」と恐れていましたよ。これだけ中国から人が来ているのに、日本に広がらないはずがないでしょう。
――リスク感覚が敏感だった。
例えば、もしタイタニック号に乗っていたら、乗客は「この船が沈むはずはない」と思うものです。人がいっぱいいるから。でも小舟だったら、「死んでしまう」と思いますよね。しかし結果としてどちらに乗っている方がリスクは大きいか?分かりませんよね。
――そしてブシロードは小舟だと。
小舟だというより、「小舟であるべき」だと思っています。大企業だろうが、小企業だろうが、リスクに敏感じゃないとやっていけない。
新型コロナのリスクを見通す上で、僕のシナリオは3つありました。通常のインフルエンザのように4月になったら急速に収まっていくシナリオ。次が、高温多湿の梅雨で収まるシナリオ。そして最悪のシナリオがスペイン風邪と同じように18カ月続くというもの。来年の夏ぐらいまでは、打撃を受けることになります。
当初は3つのシナリオの確率をそれぞれ3分の1ずつと考えて動いていました。でも現状では、3番目のパターンになりそうですね。夏場に若干は収まると思いますが、結局は18カ月ぐらい続きそうです。最悪の18カ月シナリオに備えるために、僕は銀行借り入れについても1月25日ぐらいから役員会で「どんな理由を付けてもいいから、金を借りよう」と言っていました。