シンガポールPhoto:Suhaimi Abdullah/gettyimages

日本の新型コロナウイルス対策の焦点は、感染防止から雇用に広がりつつある。政府は14日、コロナ禍で休業した人に対する支援制度を充実させると発表。企業向けの雇用調整助成金制度を拡大するとともに、労働者が直接申し込める休業手当制度も新設する。これまでのところ、雇用調整助成金の利用が進まなかったのが背景だ。だが、そもそも利用が進まないのはなぜか? そのヒントをカードゲームなどを手掛けるブシロードの創業者、木谷高明氏が4月にTwitterでつぶやいていた。シンガポールの雇用支援策がすごいと言う木谷氏に、詳しく話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

申請は一切不要
告知から9日で入金

――日本全国に緊急事態宣言が拡大された4月16日、自身のツイッター(下写真)で、シンガポールの雇用対策について触れられました。シンガポールの雇用対策の助成金は、具体的にはどうなっているのですか。

 ブシロードはシンガポールに現地法人を持っています。従業員数は30人です。シンガポール政府が助成金制度(注・記事末尾に制度説明)をアナウンスしたのは4月6日。そして実際にうちの現地法人に助成金が支払われたのは4月15日でした。

――わずか9日、早いですね。現地法人は助成金をいつ申請したのですか。

 申請は不要なのです。企業が何も手続きしなくても、助成金が振り込まれてくるのです。こうやってお金を配れるということは、政府が振込先を含めて、企業の詳細をすべて把握しているということですよね。