「生徒たちの変化」がいちばんうれしかった!
授業を変えてみて、いちばんうれしかったのは、やはり生徒たちの反応が変わったことですね。最初は中学1年生にやってみたんですが、1年生って純粋だから、ものすごくストレートに反応が返ってきて、びっくりしたし、おもしろかったです。
――授業そのものに、すごく活気が出てきますよね。
末永 そうなんです。本のなかでも取り上げているんですが、たとえば「ピカソの絵にダメ出ししてみよう」というワークをはじめたら、生徒たちがものすごくおもしろがって本当に自由で、ストレートな反応がたくさん返ってきます。
「なんでこんなにカクカクしてるの?」
「ちゃんと見て描いたとは思えないぐらい、身体のパーツのバランスが悪い」
「無機質で人間味がまったくない」
そんな反応がとにかくおもしろかったですね。
それと、以前は見られなかったんですが、授業の前後に学校の廊下で美術の話題で盛り上がってる子がけっこう出てきたんですよ。先週やった美術の授業について廊下で女子生徒同士が盛り上がっていたりとか。とくに「美術が好き」という子ではないのに、めちゃくちゃ盛り上がっている姿を見たときはとてもうれしかったです。
『13歳からのアート思考』というタイトルの由来にもなっている話ですが、小学校の「図工」の授業って、すごく人気がある科目なんです。でも、中学に入ると「美術」は途端に人気がなくなってしまう。じつはその下落幅は全教科のなかで第1位です。
そんな人気急落の美術ですが、授業のやり方を変えてみたら、生徒たちが楽しそうに、ものすごくイキイキと盛り上がってくれるようになった。それが何よりうれしかったですね。
【大好評連載】
第1回 なぜ中高生向けの「美術」の授業で、「自分なりの答えを見つける力」が育つのか?
第2回 仕事がつまらない人に共通する「うまい絵を描かなきゃいけない」という呪縛
第3回 コロナ時代に「真面目で優秀な人」が体験すること
第4回 もう“みんなの意見”に流されない。「自分なりの視点」がある人になる3つの方法