既存店売上高が5割以上減り営業赤字
ファミレスは外食でも苦戦業態

 サイゼリヤは5月18日、一部を除く全店舗で一斉休業し、「3密」を回避するため、3~4割の客席を削減した。

 いちよし経済研究所の鮫島誠一郎氏によれば、サイゼリヤの損益分岐点は87.6%で、売上高が1割強減少すると営業赤字に陥る計算だ。5月の既存店売上高は47.8%(前年同月比)と、4月の38.6%(同)からは改善したものの、大幅な営業赤字になった。

 間引く客席数は、徐々に減らす方針ではあるものの、客席稼働率が高まってもしばらくは営業赤字が続く見込みだ。

 日本フードサービス協会のデータによれば、4月の外食全業態の売上高が前年同月比60.4% だったのに対し、ファミリーレストラン業態は40.9%(同)と全体平均を下回り、外食業界の中でも苦しい業態の一つとなっている。

 九州地盤のチェーン店、ジョイフルは全国の直営店の約3割に当たる200店を閉鎖すると発表。ロイヤルホストなどを展開するロイヤルホールディングスも全体の約1割に当たる70店舗程度の閉店を明らかにするなど暗雲が立ち込めている。

 サイゼリヤでは“出血”を減らすべく、4月中旬から拡充しているテイクアウト商品が好評だ。店舗で提供するサラダなどに使う契約農家のレタスやルッコラを野菜としてそのまま販売したり、6人前のティラミスを冷凍のまま販売したりして話題を呼んでいる。

 こうした“型破り”なテイクアウトメニューは発表するたびにSNSで大きな反響があり、販売増につながっているという。