配送手数料は商品価格に上乗せか
“値上げ”を消費者は許容できるか

 店内飲食の不振と持ち帰りの好調を受け、出前館と組んで始めるデリバリー。しかし、どこまで浸透するかは未知数だ。

 これまでサイゼリヤは、手ごろな価格でイタリアンが食べられると支持を得てきた。関係者によれば、デリバリーを利用した場合の商品価格は出前館の手数料分を上乗せしたものとなり、店内飲食よりも高くなる見込みだ。

 出前館やウーバーイーツといったデリバリーサービスは、コロナ禍で売り上げ減に悩む事業者からは「助かった」との声が挙がる。ただ、飲食店の悩みは手数料だ。

 出前館やウーバーイーツの利用には手数料が30~40%かかる。そのため、手数料分をそのまま商品価格に上乗せするか、デリバリー用の商品価格を店内価格と比べて下げて手数料を自ら負担するかの選択を迫られる。

 つまり、消費者にデリバリー手数料を払わせるのか、はたまた事業者で自腹を切るか、その狭間で揺れているのだ。後者を選択した飲食店からは、「やればやるほど赤字でもうからない」との声が挙がる。

 今回のサイゼリヤは前者のパターンとみられる。  手数料が加わり“値上げ”した価格を消費者が許容できるかどうか、実験導入で検証していくことになる。

 また、デリバリーは自前ではなく、出前館の配送代行サービスを利用予定とみられている。サイゼリヤは一斉休業したタイミングで、店舗でテイクアウト販売の増加に対応する体制を整えており、配送員への商品受け渡しなどデリバリーにも応用できるとみられる。

 安さが武器のサイゼリヤが、新規参入のデリバリーで成果を上げられるのか。これからのファミレスの未来を占う試金石になりそうだ。