ビジネスモデルの「4つの箱」
皆さんはそもそも「ビジネスモデル」の意味をきちんと理解しているでしょうか。正確な定義は、「誰に何を」「どのように提供し」「どのようにもうけるか」を描いた「ビジネスの設計図」になります。「ビジネスモデル」というと、ITビジネスなどのような先進的な事業体を想像するかもしれませんが、重厚長大の老舗企業から家族で営む商店まで、全ての業態が独自のビジネスモデルを持っています。
90年代にインターネットが勃興し、アメリカを中心にインターネット関連のビジネスが数多く創出されました。しかし、従来と違う世界初の業態のため、起業家たちは、自分たちがどのような事業をして、どのように稼いでいるのかを一般の人々や投資家に、なかなかうまく説明できませんでした。そこで、企業がどのような形で稼いでいるのかを示すために、ビジネスモデルという概念が多用され始めたのです。
ビジネスモデルについての理論を体系化したマーク・ジョンソンによると、ビジネスモデルは4つの箱から構成されます(下図参照)。具体的には、(1)顧客価値の提供、(2)経営資源、(3)プロセス、(4)利益方程式、の4つです。以下でそれぞれ詳しく説明していきしょう。
(1)顧客価値の提供
先ほど示したビジネスモデルの定義でいう「誰に何を」の部分が「顧客価値の提供」です。単に提供しているサービスや製品自体で考えるのではなく、「ターゲットとする顧客は誰か?」「その人はどのような悩みを抱えているのか?」「それをどのようなモノやサービスを使って解決するのか?」を具体的に考え抜くことが重要です。
(2)経営資源
ビジネスモデルの定義での「どのように提供し」の1つ目にあたるのが「経営資源」です。ヒト・モノ・カネといった経営資源に加え、ブランドやパートナーシップなども立派な経営資源です。
(3)プロセス
同じくビジネスモデルの定義における「どのように提供し」の2つ目にあたるのが、「プロセス」です。会社が事業規模を拡大していくには、品質や効率を落とさないために、適切な業務の進め方を確立する必要があります。また、社内のルールや評価基準、行動規範もプロセスだと言えます。
(4)利益方程式
ビジネスモデルの定義での「どのようにもうけるか」を表し、収益モデルやコスト構造などを指したものが「利益方程式」です。これがなければお金を稼ぐことはできません。会員制ビジネスや、サブスクリプションモデル、ガチャの課金なども利益方程式の典型です。
これら4つの箱が相互に作用し合っているのが「ビジネスモデル」で、今のように外部環境が大きく変化したり、イノベーションが起きたりするときにはこの4つの箱について検討していくことが必要です。