ジョギング自体は風景の中を駆け抜けていく爽快感があって悪くない。ステージの中にはほかにいくつかギミックが用意されている場合があり、これも飽きさせない要素である。個人的にはスクワットでブランコをこぐのが最も気持ちいいが、スクワットそれ自体はあまり回数を重ねるとやはり地獄である。そして結構回数を重ねられることも度々あり、この厳しさがしんどくありつつも、フィットネス的観点からうれしく感じることもある。

 ジョギングしている途中で敵と出会うと戦闘が始まる。こちらが攻撃して、向こうが攻撃して…という、これも一般的なRPGに見られるバトルである。攻撃には“フィットスキル”なるものを選択するのだが、これが筋トレ、もしくはヨガのポーズで、1回やるごとに敵にダメージが行く仕組みである。

 たとえば筆者が腹を締めるために好んでやっている「プランク」は、地面に肘をついた腕立て伏せのような状態から尻を上げ下げするフィットスキルだが、尻を上げるとゲーム内でシュイーンという音がして、何かパワーのようなものがたまっていく。そして所定の時間それをキープし終えて尻を下げるとたまったパワーのようなものが解放され、バキーン!という音がして敵が殴られる。これが気持ちいい。

 気持ちいいのだが、当然のことながら、プランクなら尻を持ち上げると腹や腕当たりの筋肉が悲鳴を上げてガクガクしだす。しかし、手を抜いて尻を少ししか上げないとパワーが十分たまらず、敵にダメージが行く音もペチッと拍子抜けするような軟弱なものになってしまうので、「うおお」と悲鳴を上げながら、そしてその様子を見て何か楽しそうに感じた2歳の娘が上に乗ってくるのと戦いながら、尻を天高く突き出すしかないのである。

 また、フィットスキルを選んだ時点でやるべき回数が明示される。30回なら30回(ノルマは自分で前もって設定可能)をやり終えないと次に進まないので、自分ひとりで筋トレをやっているとき起こりがちな「今日は30回って決めてたけどしんどいから5回でいいや」といった甘えは許されない。

 しかし1回やるごとに、ゲーム内のリングコンに取りついた“リング”なる善らしき存在が「素晴らしい!」「自分を追い込め!」といった旨のことを叫んでこちらを励ましてくれる。たかがゲームのボイスなのだが存外効果があり、「よし、じゃあ一丁、今だけ自分の限界を超えてみせるぜ!」という気持ちにさせられる。

 フィットスキルの収集も楽しい。後半に入手できるものほど攻撃力が高いのでゲームの攻略が有利になるのもあるが、それぞれのフィットスキルには「腰痛改善」や「ヒップアップ」などの効能が明示されているので、どのフィットスキルを使っていくか、すなわち己の肉体をどのように作り込んでいくかを主体的にプランニングしていく楽しみもある。また、フィットスキルごとに効く部位が違うので、新しく獲得したものはとりあえず試してみたくなる。