やっぱり一回大きな挫折とか失敗をすることです。
そうしたら本物になるんです
(徳重)

スタートアップが成長する過程で、<br />ゼロイチの起業家は、事業家、<br />経営者へと自己変革する必要がある徳重徹(とくしげ・とおる)
テラモーターズ株式会社/テラドローン株式会社 代表取締役社長
1970年山口県出まれ。九州大学工学部卒業。住友海上火災保険株式会社(現・三井住友海上火災保険株式会社)にて商品企画・経営企画などに従事。退社後、米Thunderbird経営大学院にてMBAを取得、シリコンバレーのインキュベーション事業に従事し、事業立ち上げ・企業再生に実績を残す。日本に帰国後2010年4月にテラモーターズ株式会社を設立し、電動バイク事業をアジア市場に展開。さらに2016年3月、新たにドローン事業に携わるテラドローン株式会社を設立した。

田所 そこで7掛けみたいなところって、どういう要素なんですか。徳重さんがよく話すみたいに、ロジックプラス、いわゆる行動力みたいなことをおっしゃっていますけど、両軸みたいなところですか?

徳重 そうですね。もう少しシンプルに言うと、今はもう完全に任せてやれているんですけど、目標設定だけ大きなのを作れば、あとは任せて経営できるっていうところですね。しかもグローバルマーケットで。今の日本人で、海外で経営できる人材って、たぶんほぼいないんじゃないかと思うんですけど。うちではまだ半分未熟な人も含めると、10人近くそういう人材がいるわけです。そこの層の厚さと、そこの資質をもっと上げるとかレベルを上げていくっていうのが極めて大事かなと。

田所 それってテラに入ってからそうしたのか、もしくはテラに来る前からマネジメントして経験のある人を雇うのか、両方ですか?

徳重 非常にいい質問なんですけど、基本的にはまず入ってくるときの考え方とか、何を目指しているかっていうのがまずベースです。ただ、やっぱり若いと、だいたい大手商社とか大手メーカーとか、20代後半から30代前半が多いんですけど、まだやっぱり経験不足なんですよ。いちばんは、私自身もそれで強くなってるんですけど、やっぱり一回大きな挫折とか失敗をすることなんですよ。そうしたら本物になるんですね

田所 挫折ですね。

徳重 最近でも一つあったのがインドで、PMI(Post Merger Integration:M&Aをした後の統合プロセス)というか、なかなか苦労して、4ヵ月、本来こうであるべきだろうというのが本人の力量不足もあってできなかったと。本人は大手商社出身なんですが、めちゃくちゃ悔しくて。それで、次にヨーロッパをやらせたんですけど、それ以降、変わりました。

田所 ヨーロッパはPMIですか?

徳重 そうですね。そうすると、もちろんインドはインドでの大変さ、ヨーロッパはヨーロッパでの大変さがあるんですけれども、まだ20代後半ぐらいですけど、ヨーロッパでも相手は50歳ぐらいのおじさんなんですが、切った張ったしながらビジネスをやれているというのは、やっぱりそこの大きな挫折経験が大きかったなと。僕がよく言っている「本物になる」っていうか、やっぱりそういう体験がすごく必要なのかなと思いますね。

田所 挫折って、僕もそれ、すごい大事だと思うんですけど、やっぱり内省するというか、「いや、終わっちゃいました」みたいな感じで、そこも放置するだけじゃなくて、なんでそもそもこれがうまくいかなかったのか、みたいなことを、ある意味傷に塩を塗る感じでもあるんですけど、そのへんの内省が僕はすごく大事だなと思っていて、そのへんは、けっこうコーチングしたりとかやるのですか?

徳重 そこは、いちばん大きなポイントになるのは、反省もすごく大事なんですけど、その人のキャラクターによるところもけっこう大きいと思っています。いわゆる一般的に優秀だと思われる人でたまにいるのが、僕たちも過去2人ぐらいいましたけど、自分のせいにしたがらない人。

田所 オーナーシップがない、みたいな?

徳重 例えば、失敗するのっていろんな原因があるじゃないですか。人のせいとか、マーケットのせいとか、相手のせいとかしている人っていくらでもいますよね。だいたい8:2とか7:3とか、4:6の割合で、自分の寄与度、悪さもあるじゃないですか。で、自分が2の悪さでも、8のマーケットが悪いせいにしないっていう人は伸びますよね。なので、最初のエントリーから、優秀な人の中に、たまにそういう他責にする人がいるんですけど、そういう人は採らないようにしています。

田所 そこが事業家として、テラも事業家集団をつくっている感じですか?

徳重 そうですね。マッキンゼーがああいうプロフェッショナルコンサル集団だとして、僕たちは事業をつくれる人、かつ@グローバルみたいなところでのユニークネスはあると思います。