チームは、ボケとツッコミの組み合わせがいい。
ボケはビジョンをぶち上げる人、ツッコミは冷静なリアリスト(田所)
斎藤 常に悔しいところに立ち戻れる人かどうかっていうのは、ほんとすべてだと思いますけどね。要は世界一って最初から目指していたら、常に悔しいんですよ。でも、IPOが目標だと、IPOしたらその次は目標がなくなったりするわけですね。だから、その意味でいうとビジョンの高さが必要ですね。それと、あとはやっぱり周りにいる人ですよね。周りにいる人が本当に「世界一やるんだ!」っていう人ばっかりだったら。
田所 そこでいうと、いわゆるガソリンというのが、内燃的なものなのか、他人から注がれるのか、みたいなのは?
斎藤 両方だと思います。自分の中で高めていくストーリーの話と、あとはやっぱり周りに着火されて燃え上がるのと、両軸なんですよ。で、それがベースで、事業家の話でいうと、ビジョンとか社会をどう変えるかっていうのがいちばん大事なんですけれども。でも、それを継続的にインパクトを出すためには、売上と利益をちゃんとやらないといけないんですね。
田所 継続していくためには、そうですよね。
斎藤 で、これを両立できるのが本当の意味での事業家だと思いますね。要はビジョンだけ追って、お金をいっぱい集めてサービスを出して、までは起業家として、事業を黒字化させなくても起業家は起業家だと思うんです。それをバイアウト(買収)されたとしても。でも、これをちゃんと事業にしてさらに大きくするというのが事業家だとすると、これってほとんど、上場したりいろいろすると、こっちの売上とか利益を出すことに引っ張られちゃうんですよ。そうすると、気づいたらだんだん現状維持で新しくなくなっていく。
田所 そうですね。
斎藤 だから一連の起業家って、やっぱり世の中を変えるっていうのはブラさずに、こっちの利益を上げたりしつつ組織化したり、いろんなやることがあるじゃないですか。これを何度も失敗しながら上げていけるということかなと。大事なのは、目的は「社会を変えるんだ」ということを常にブラさないかどうか。それはほんと難しいですけどね。
田所 1人でやるのもいいですが、理想をいうと、僕はチームでやるのが良いと思っています。たとえばボケとツッコミの組み合わせです。ビジョンをぶち上げる人は、いわばボケですよね。大口をたたく一方で、役割分担があるかなと思っていて、当然ツッコミ的な、冷静にリアリスティックに戦略を組み立ててやる人も必要です。
斎藤 わかります。
田所 なんだかんだいっても日本はまだ優秀じゃないですか。GDPで世界3位じゃないですか。で、VCも増えてきて、今、スタートアップの資金調達額が5000億円弱ぐらいなんですけど、でもユニコーンは2社みたいな状況です。テラモーターズで3社目だと思うんですけど、それって圧倒的に事業化(CXO)人材が足りないのかなと思っています。起業家は起業家として一皮むけていない人も多いですし。その要因として、一つは、日本は世界で見ると上場しやすい市場なんですしね。調達環境もよくなってきたし。だから、その辺のことも関係していると思うんですけどね。