仕事の意義を伝え、仕事を楽しむ

――現在の状況を「つらい」と思っているリーダーも多いのではないでしょうか?

吉田 発想を転換することが大事です。もしコロナ禍で業務時間が減っているなら、勉強をするチャンス。どんどん学んで新しいことを勉強していく時間にすればいい。それが後に大きなリターンとなって返ってきます。

伊庭 リーダーもこんな状況だからイライラしています。だからといって部下に当たり散らしていては、何もいいことはない。「今こそ自分のリーダーシップが鍛えられている」とモードを切り替えた方がいいです。そして、イラッとすることがあっても冷静に対処できた時は、「自分のリーダーシップはかつてよりも高まっている」「3ヵ月前のオレとは違う」と自分を認めてあげればいい。そんなふうに発想を転換するとコミュニケーションスキルは高まるし、仕事も面白くなるのではないでしょうか。

吉田 私が業界3位の旅行会社で営業マンをしていた頃、コンペで1位の会社に負けたことを愚痴ったら、上司がこんなことを言いました。「うちの会社は1位の会社より商品力やブランド力の面で劣るから受注は簡単じゃないけど、その代わりに営業マンとしての力は鍛えられるよ」と。今の現場はそれと似ていますね。リソースが足りない環境や、問題の多い環境に置かれた方が、知恵を働かせるようになるので、リーダーは成長できます。そんなふうに発想を切り替えれば、問題ある部下もかわいく思えます。

伊庭 コロナ禍で業務量が急に増えたり、感染の危険を冒してまで出勤しないといけなかったりする現場もあると思います。そのような状況ではチームのモチベーションが下がってしまいます。そんな時こそリーダーは、「なぜ仕事をやるのか」「誰のためにやるのか」といった仕事の意義を自分の言葉で語って、疑問を解決してあげたいですよね。

吉田 そうですね。「やらされ感」で仕事をするだけだと面白くないし、成長できませんから。週40時間を「やらされ感」だけで働いたらもったいない。こういう時だからこそ、仕事の意義や楽しさを教えてあげたいですね。

 そして部下の仕事だけでなく、リーダーの仕事もやはり楽しいものです。こんな時こそ存分に楽しんで仕事をして、リーダーとして大きな成長を果たしてほしいと思います。

新型コロナの混乱をチャンスに変えチームを飛躍させられるリーダーとは?(後編)