百戦錬磨の外資系コンサルが書く提案書のノウハウはこれ! まずは読んでもらえる、わかってもらえる提案書をすばやく書こう! 99パーセントの問題をカバーする7つの提案書のパターンから1つを選び、4枚のシートに落とすだけ。もう「枚数で勝負」は終わりにしましょう! 『外資系コンサルの30分で提案書を書く技術』は、外資系コンサルティング会社で学んだ万能の提案書の書き方の入門書です。ここでは、そのエッセンスをコンパクトに紹介します。(初出:2020年7月31日)
文章の書き方にはいくつもスタイルがあるけれど
私たちは小さい頃から何かしら文章を書く機会が多く、読書感想文や見学レポート、研究発表の資料、小論文や卒業論文などを書いた覚えは誰にもあるでしょう。入学試験や入社試験で論文を書かされたかもしれません。
その過程で、文章の書き方にはいくつかのスタイルがあることを教えられました。例えば小論文であれば、序論・本論・結論の3段構成で書くことが標準的であると教わります。序論は導入部で問題提起を行い、本論は展開部で論証を示し、結論は結末としてまとめを書く、と教わりました。試験の小論文もこのスタイルで書くことが多いでしょう。
よく知られているのが起承転結の構成です。中国の漢詩である絶句の構成方法が起源です。起は導入部分で、物語が起こるところから始まります。承は物語を発展させる部分で、物語の魅力を膨らませます。転は物語に変化が訪れる部分であり、物語の最大の山場になります。結は物語を締めくくる部分であり、起こった問題を決着させる役割があります。
序破急というスタイルもあります。これは日本の古典音楽のひとつである雅楽から出てきた概念です。序は導入部分で、物語のつかみに当たる重要なところです。破は変化が訪れる部分で、物語を広げ、盛り上げていくところです。急は物語を締めくくる部分であり、物語で起こった事件を収束させ、終わらせるところです。
パラグラフ・ライティングを習った方もいるかもしれません。英語圏では一般的なスタイルで、論理的に物事を伝えるための文章術です。まず、主題や主張を述べます。次に、主題や主張を強化する例を挙げて示したり、補足情報を加えたり、根拠を述べたりします。最後にまとめ文を書いて締めくくりとします。これも3つのパートで構成されています。私も英語で論文を書くときには、このスタイルに従うよう教えられました。
映画の脚本では3幕構成が用いられます。これは米国の脚本家であるシド・フィールド氏によって理論化されたものです。ストーリーは3つの幕に分かれ、それぞれ設定(Set-up)、対立・衝突(Confrontation)、解決(Resolution)の役割を担っているとする枠組みです。状況説明(Situation)、冒険・葛藤(Quest)、解決(Resolution)と言われることもあります。
提案書の定石は基本の3章構成(4枚)
同じように提案書にも定石的な構成があります。図1-6を見てください。第1章(課題)、第2章(考察)、第3章(解決)の3章で構成されていて、第2章は1(理想)と2(学び)に分かれています。これが本書で使う、提案書の基本の3章構成です。
ビジネスにおける提案書の目的は、何らかの課題があって、それに対してこのような施策を講じ、このように解決すれば、こんなことが達成できる、という内容を伝えることです。この内容を基本の3章構成に従って語っていくことになります。
第1章では、会社や組織、経営者が直面している経営上の課題を定義します。経営課題を体系的に整理して定義することがキーポイントです。
第2章の1のキーポイントは、理想的な解決策を示すことです。必要な調査や分析を行って、いくつもの解決策を比較検討して、最も望ましい解決策が選ばれます。
しかし、この理想的な解決策は本当に実現可能でしょうか? 期待する成果を得られるでしょうか?
それを確認する意味で、第2章の2では、その実現可能性を現実に即して学び直し、理想的な解決策では必ずしも目的が達成できそうにないことを示します。第2章の2は悟り、教訓を語るところです。
理想的な施策があって、学びも得られたので、次には真の解決に向かうことができます。これが第3章のポイントです。ここで真の課題解決に向けた道筋が示されるのです。
これが基本の3章構成の概要です。この内容をまとめて言うと、次のような感じになります。
●こういう経営課題が定義された。(第1のポイント)
●理想的にはこんな施策によって解決されそうだ。(第2のポイント)
●しかし現実にはこんな障害があることを学んだ。(第3のポイント)
●だからこういうやり方で解決していこう。(第4のポイント)