コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
 ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。
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お酒でストレス発散はできない!

「お酒」が健康にいいのか、悪いのかは、さまざまな研究と議論があります。4つのポイントに分けて見ていきましょう。

(1)「少量の飲酒は健康にいい」は誤り

お酒の健康に対する常識は、「少量の飲酒は健康にいい」というものでしょう。一昔前は、まったく飲酒をしない人より、多少のお酒を飲む人のほうが死亡率が低いという「Jカーブ」によって、それが示されていました。

しかし、最近の研究では、少量の飲酒でリスクが下がるのは虚血性心疾患、脳梗塞、2型糖尿病などの限られた疾患であり、高血圧、脂質異常症、脳出血、乳がんなどでは、飲酒量が増えるほどリスクが高まるということが明らかにされています。まとめると、「Jカーブ」のメリットはほとんどないか、微々たるもので、お酒は飲めば飲むほど病気リスクを高めると考えられます。

ですから、お酒をほとんど飲まない人が、「お酒は健康にいいらしい」という理由で、無理して飲むのは百害あって一利なしです。

この「適量」についてもさまざまな議論があります。厚労省の政策「健康日本21」では、日本の大規模研究の結果をもとに、適量飲酒は「純アルコールで1日平均20グラム程度」と定められています。これはビール500ml缶1本分、日本酒で1合に相当します。

健康を害さない1日の飲酒量の目安
・ビール(ロング缶1本)
・日本酒(1合)
・ウイスキー(ダブル1杯)
・焼酎(25度のものならグラス半分)
・ワイン(グラス2杯弱)
・チューハイ(缶1本)

 「健康日本21」(厚生労働省)より
Photo: Adobe Stock

(2)適量以上は、飲めば飲むほど健康に悪い

適量の飲酒を超えると、生活習慣病(高血圧、脳卒中、脂質代謝異常、糖尿病)、がん、肝障害、メンタル疾患のリスクが大きく高まります。また、ビールをたくさん飲むと痛風(高尿酸血症)のリスクが高まります。

「健康日本21」の基準によると、生活習慣病のリスクを高める1日の飲酒量のラインは、アルコール40グラム、多量飲酒が60グラムと定められています。1日500ml缶ビール3本で、「多量飲酒」にあたります

(3)毎日は飲まない

適量であっても、毎日ずっと飲み続けるのは、「極めて」よくありません。肝臓がアルコールを分解し続けて休むヒマがないので、肝機能が悪化します。

さらに、毎日の飲酒はアルコール依存症のリスクを飛躍的に高めます。1年間で、お酒を飲まない日が1日もない人は依存症を疑ったほうがいいでしょう。お酒を1滴も飲まない日、つまり、「休肝日」を週に2日以上はとるようにしましょう

(4)飲酒はメンタルに極めて悪い

飲酒は睡眠の質を悪化させ、睡眠障害の重大な原因となります。飲酒はメンタル疾患のリスクを大きく高めます。多量飲酒者では、うつ病のリスクが3.7倍、認知症のリスクが4.6倍、自殺リスクを3倍にも高めます。

メンタル疾患を治療中の人は、「禁酒」が必須です。お酒を飲んでいる限り、ぐっすりと眠ることができず、メンタル疾患は治りにくくなります。

そもそも、「お酒でストレス発散ができる」という考えは、科学的に間違いです。お酒を飲むとストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌が増えます。飲む期間が長くなるにつれ、ストレス耐性が下がり、「抑うつ」の度合いも高まります。ストレスが溜まって、飲酒量が増えることは、「うつ病」に向かって、一気に突き進んでいることと同じです。

アルコールは、脳の興奮を抑える「GABA(ギャバ)」を分泌する神経を活性化します。つまり、鎮静剤を飲んでいるような効果がありますが、それは「問題の先送り」でしかありません。問題を先送りすると、事態は悪化して対処不能になり、ストレスは増える一方です。お酒でストレス発散はしないほうがいいのです。

これが、正しいお酒の飲み方だ!

「晩酌が1日の楽しみ」という人も多いでしょうが、家で飲むと、つい飲みすぎてしまうものです。晩酌をする人は、ほぼ毎日晩酌をするでしょうから、適量飲酒を守ることは困難です。家飲みは控えましょう。

私もお酒は大好きなのですが、基本的に家では飲まないルールを決めています。週に2~3回程度、会食しながら飲むスタイルにしています。週2回の飲酒であれば、仮に1日にビールを3杯飲んでも1週間の適量飲酒の範囲に収まります

また、私が考える「正しいお酒の飲み方」は、楽しく飲むことです。お祝いごとやご褒美として、親しい仲間と会話を楽しみながら飲むものです。