あなたは自分の歯に自信がありますか? 欧米では「歯」はその人の育ち、教養、自己管理能力の象徴として見られ、歯でその人は値踏みされます。でも、残念ながら「日本人の歯はキタナイ」というのは世界中で指摘されています。実際、日本人は虫歯や歯周病にかかっている割合、口臭を気にしている人の割合も高いのです。原因は「意識の低さ」「間違った情報の氾濫」です。骨格や食習慣などはその他の要因でしかありません。この意識の低さ、間違った歯のケアで、多くの日本人の人生の質が低下し、あらゆる機会で損をしているのです。この連載では『世界の一流はなぜ歯に気をつかうのか』の中から、日本人の歯に関する情報、正しいケア方法など抜粋してお届けします。
「歯の不健康が原因で死ぬ」――そんな驚くような事実が最新の研究でわかってきました。じつは歯の不健康が、がん、糖尿病、認知症など様々な恐い病気に関連していたのです。誰もが気になる「歯」の健康について、その正しい知識とケア方法について書かれて話題となっている『世界の一流はなぜ歯に気を使うのか』。同書の著者の森下真紀氏と、「歌舞伎町のホスト過ぎる歯科医師」としてSNSやテレビ出演でその風貌も含めて目されている稲葉将太歯科医師に対談をしてもらった。3回目となる今回は歯と全身の健康、そして大人の虫歯についてだ。
歯科医師、タレント
医療法人歯科ハミール 東京統括院長
「歌舞伎町のホスト過ぎる歯科医師」としてSNS上で注目され、「林修のニッポンドリル」や「マツコ&有吉のかりそめ天国」などの多くの人気番組に出演。最近では「アウト×デラックス」にゲストとして出演しその容姿、キャラクターが話題を呼んだ。また、ミスユニバース審査員、美容系コラムニスト、企業とのコラボ商品開発と様々なジャンルで活躍中。診療スタイルはカウンセリングを重視し、患者のニーズに合わせた最先端医療機器を用いた歯科治療は評判になり予約が殺到中。「歯科医院が怖くなくなった。好きになった。」という患者が続出している。
歯科医師・歯学博士・株式会社日本歯科総合研究所代表取締役社長
東京医科歯科大学歯学部歯学科首席卒業。在学時、英国キングスカレッジ歯学部に留学。その後、東京医科歯科大学歯学部附属病院研修医を経て、東京医科歯科大学大学院入学し博士号取得。大学院在学中には日本学術振興会特別研究員も務める。株式会社日本歯科総合研究所を2017年に設立し、代表取締役社長に就任。「日本を世界一の歯科先進国へ」をミッションとして掲げ、歯科業界の発展に貢献すべく活動を行っている。
「歯の不健康」が重病を引き起こすことがわかってきた
――『世界の一流はなぜ歯に気を使うのか』には、不健康な歯が全身の様々な病気の原因になっていることも最新の研究を元に解説されていました。がんや認知症、糖尿病といった重病にまで関係していたこと、歯の健康を維持することで、そうした重病にかかるリスクを減らせることなど、もっと多くの人に知ってもらうことだと感じました。ここからは、「歯と全身の健康」について、ご意見を伺いたいと思います。
森下真紀・歯科医師(以下、森下):むし歯や歯周病、かみ合わせの悪さが、全身の健康を脅かし、ときには命に関わる病気の発症原因になることは、認知されていると感じますか?
稲葉将太・歯科医師(以下、稲葉):まだまだじゃないでしょうか。特に、重い病気を経験したことのない人は、歯と全身の健康の関係なんて知らない人のほうが多いんじゃないかな。日本の医療は、歯科は歯科、医科は医科と守備範囲を明確に分けてしまっているから、例えば、内科にかかって、「心筋梗塞や認知症予防のために歯の健康は大事ですよ、歯医者さんに行きましょう」なんて勧められることってあまりないと思うんですよね。
森下:大学からして医学部、歯学部と完全に分かれていて、しかも、あまり仲が良くない(笑)。
稲葉:全身の健康のために歯が大事だということがあまり知られていないのには、こうした医療界側の事情も影響していますよね。
――医科と歯科の分断以外に、日本人の多くが歯の健康と全身の健康を分けて考えるようになった要因はありますか?
森下:欧米の場合は、歯のメンテナンスにかけるコストが日本とは格段に違いことを指摘したいです。また小さい頃から定期的に歯科医院に通うことが当たり前となっています。そこで歯の健康がいかに重要かを知り、ますます歯への意識が高まっていくんです。
稲葉:日本の場合は、「歯ぐきが腫れた」、「歯が痛い」、「詰め物が取れた」が歯科医院に行く3大理由。何かが起きないと歯医者には行かないという人がほとんどですからね。本当は美容院に行くような感覚で、何も起きていなくても歯科医院に定期的に来てくれるようになると、歯の健康に関する知識も増えて、歯に対する意識も変わっていくと思いますし、そうなってほしいですね。