論理的発言は「ピラミッド構造」で組み立てるPhoto:thodonal/123RF

前回まで、理路整然と発言するために必要な大前提、そして接続詞の使い方などの表現について説明してきた。いよいよ論理的思考の本丸、ピラミッド構造(ピラミッド・ストラクチャー)について紹介する。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。

ピラミッド構造で考えを整理し、結論から言う

 私たち日本人が慣れている起承転結のスタイルは、グローバルな環境では「要点を早く言ってくれ」とイラっとされがちです。また、相手はこちらの事情を知らないからと、そもそも論から話を始めてしまい、嫌がられることも多々あります。

 ある日本企業の英語のグローバル研修でのことです。質疑応答での受講生の答えのほとんどが「的を射ていない」ものでした。教授の「YESかNOか」の質問に対して、YESともNOとも言わず、なぜそう考えたかの思考経路から説明を始めてしまうのです。

 そのうちに、何に対する答えなのかが周りも理解しにくくなり、教授が本題に戻す意味で説明を求めると、今度は細部の説明を始めてしまい、結局、「YESかNOか」という当初の質問に対する回答にはたどりつけませんでした。

 日本人の慣習からすると、結論を先に述べることに抵抗があるようです。リスクヘッジのためにも、また事を荒立てないためにも、結論を述べる前に、なぜそこに至ったかという背景を理解してもらおうとするのです。前提や経緯を語ったうえで、最後にようやく結論に至るわけです。

 しかし、グローバルのビジネスシーンでは、最初に結論を言うことで、同じ意見か違う意見か、周囲の人も心構えを持つことができ、以降の説明をよりしっかりと聞いてくれるようになります。低文脈でいう直接的とは、赤裸々に自分の気持ちをぶちまけるというより、「ポイントをつく」ということです。起承転結型の長々とした口上は回りくどく感じるわけです。

 英語という不慣れな言葉を使い、文脈を共有していないグローバル環境で起承転結を始めると、収拾がつかなくなります。「この人は考えもまとまっていないのに、だらだら話しているのか」と論理力を疑われ、下手をすれば「もういい」と途中で遮られ、結論を言えなくなる可能性も出てきます。

 物事を整理して伝えようとするときに大切なことは、「結論」から先に述べることです。結論、そして理由、この流れが大切です。最適な方法の1つは「ピラミッド構造」を用いることです。以下のような、下支えされる理由のうえに結論が成り立っている形に思考を整理することです。

 この構造を使って、結論から話して行きます。例えば、Aさんを雇用すべき理由についてのピラミッドを作ってみましょう。

 We should hire A-san.
 →Aさんを雇用すべきです(結論を述べる) 
 I have three reasons:
 →3つ理由があります(これから話すことの構造〈マップ〉を明らかにする )
 First, she is an excellent engineer.
 →1つ目は、彼女が優秀なエンジニアだからです
 Second, currently our engineering resources are very limited.
 →2つ目は、いま、エンジニア・リソースがひっ迫しているからです
 And third, we still have enough budget to hire another person.
 →3つ目は、予算にまだ余裕があるからです
 So, we should hire A-san.
 →従って、Aさんを雇用すべきです(締めとしてもう1度結論を繰り返す)