おススメなのは、「3つあります」と言うときに、いったん指を3本突き出して見せることです。そして改めて手を閉じ、「First」で指を1本、「Second」で指を2本、「Third」で指を3本突き出しながら話していきます。

 最初のジェスチャーで理由が3つあるという全体像を示し、話の進行とともに1本ずつ指を増やしていくことで、いまどこを話しているのかをビジュアルで示せるというメリットがあります。

 文章化する際は、以下のようなフォーマットが役に立つでしょう。

 I would say [結論の文章].
 I have three reasons for that.
 First, [1つ目の理由].
 Second, [2つ目の理由].
 And third, [3つ目の理由].

 I think XXX. I have three reasons.
 First of all, [1つ目の理由].
 Then, [2つ目の理由].
 Lastly, [3つ目の理由].

エレベーターピッチでも威力を発揮

 またピラミッド構造は、「エレベーターピッチ」でも威力を発揮します。アメリカのビジネス界で使われる言葉で、エレベーターでたまたま偉い人に出くわしたとき、目的階で降りるまでの短時間で要点を簡潔に伝える話し方のことです。

 たった30秒や1分で大切なことを相手に伝えるには、ズバっと結論を言い、相手の興味を引く理由をサクサク述べなければなりません。この訓練をすると、頭の中が整理され、論理的に話す癖を身につけることができます。

 結論(答え)とともに「理由は3つあります」と先に言い、そこから1、2、3と理由をつけていくのですが、タイミングよく理由をひねり出すには慣れが必要です。アイスブレークで出そうな質問から、少し重めのものまで、ある程度練習しておくのがよいでしょう。

「夫婦でバケーションに行くにはどの国がおススメですか?」
「この辺でおススメのレストランはどこですか?」
「札幌と福岡、どちらに住みたいですか?」
「初来日の観光客におススメの日本食はなんですか?」
「一番好きなアーティストはだれですか?」
「最近読んだ本で大学生へのおススメは?」
「人生にとって一番大切なものは何ですか?」
「法律で全面禁煙にすべきですか?」

 回答時間は、英語だったら60秒、日本語だったら30秒が目安です。慣れてきたら、英語は45秒、日本語は20秒くらいで回答することを目指しましょう。

 ここまでで、拙書『グローバル・モード』で理想的なゴールに向かうための「STEP1 現状把握」について説明いたしました。このあとの「STEP2 ゴールの設定」「STEP3 実行フェーズ」については、ぜひ本書をご覧ください。

 次回から第35回までは、気軽に読めるコラムをご紹介します。

論理的発言は「ピラミッド構造」で組み立てる
児玉教仁(こだま・のりひと)
イングリッシュブートキャンプ株式会社代表
ハーバード経営大学院 ジャパン・アドバイザリー・ボードメンバー
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー アドバイザー
静岡県出身。静岡県立清水東高等学校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を経済学・政治学のダブル専攻で卒業後は、シアトルでヘリコプターの免許を取得後帰国。1997年4月三菱商事株式会社入社。鉄鋼輸出部門に配属され様々な海外プロジェクトに携わる。2004年より、ハーバード経営大学院に留学。2006年同校よりMBA(経営学修士)を取得。三菱商事に帰任後は、米国に拠点を持つ子会社を立ち上げ代表取締役として経営。2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。イングリッシュブートキャンプ社代表も務めるかたわら、大手総合商社各社をはじめ、全日本空輸、ダイキン等、様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。