質問をオープンに受け入れることは、グローバルなコミュニケーションで欠かせない大切なことだ。とはいえ、英語がネイティブではない我々にとって、自分のペースが崩されて話せなくなってしまうのも考え物。そこで、うまくその場を切り抜けるための表現を紹介する。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。
質問を受け入れつつ、自分のペースを守る
意見を広げる際も、意思決定する際も、質問は双方の理解を深めるうえで重要です。基本的には「何でも聞いてください」というオープンな姿勢を示しつつ、ネイティブでない我々としては、自分のペースもある程度守りたいところです。特にプレゼンでは最初に質問の仕方を提案しておくとよいでしょう。
・最初に質問の仕方を提案する
If you have any questions, please ask me at any time.
→質問があれば、いつでも聞いてください
You can stop me at any time to ask questions.
→質問があれば、いつでも止めて聞いてください
If you have any questions, please wait until the end.
→質問があっても、最後までお待ち頂けますか?
Please save any questions until after the presentation.
→質問は、プレゼンの後にしてください
Please hold your questions until the end.
→質問は、最後までお待ちください
その都度質問を受ければ相手が理解しやすい半面、ペースを崩されて最後まで話せなかったり、一番話したいところに時間を割けなかったりします。
とはいえ、相手が質問するのは興味がある証し。以下のような「場をコントロールするスキル」が身につけば、その都度質問を受けるのがよいでしょう。
・場違いな質問をいなす、うまく質問を締め切る
Thank you for the question. However, I’m unable to answer that at the moment.
→質問をありがとうございます。ただ、私にはそれについて答えることができません(場違いな質問に対し、答えないことを明らかにする)
I’d prefer to focus on the topic at hand.
→目の前のトピックについて話したいと思います(場違い・失礼な質問に対し、間接的に答えないと伝える )
Are there any other questions?
→他に質問はありますか?(他の質問に逃げる)
Oh, I’m sorry but I’m running out of time. Can you hold that question until the end?
→時間がもうないですね。その質問は最後までお待ち頂けますか?(次に質問しようと意思表示をしていた人に待ってもらいたいとき )
Let me get through this first. I’ll answer your questions at the end.
→まずプレゼンをやってしまいましょう。質問は最後まで待って頂けますか?(まだ何人か質問したい人が残っていたとき)
・一部を割愛するなどしてペース配分する
Let me skip this part.
→ここは飛ばします(お気になさらず、といった感じで)
If you’re interested in this, I’ll email it to you.
→ご興味あれば、資料を後でメールします
If you want to discuss this part in more detail, let’s talk after the session.
→このパートについてさらに詳しく話したい方は、セッションの後で私のところにいらしてください(細かい質問、深すぎる質問を後に回す方法として )
次回も引きつづき、日本人があまり得意としていない「うまい断り方」について、ちょっとしたお役立ち表現をご紹介します。
イングリッシュブートキャンプ株式会社代表
ハーバード経営大学院 ジャパン・アドバイザリー・ボードメンバー
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー アドバイザー
静岡県出身。静岡県立清水東高等学校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を経済学・政治学のダブル専攻で卒業後は、シアトルでヘリコプターの免許を取得後帰国。1997年4月三菱商事株式会社入社。鉄鋼輸出部門に配属され様々な海外プロジェクトに携わる。2004年より、ハーバード経営大学院に留学。2006年同校よりMBA(経営学修士)を取得。三菱商事に帰任後は、米国に拠点を持つ子会社を立ち上げ代表取締役として経営。2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。イングリッシュブートキャンプ社代表も務めるかたわら、大手総合商社各社をはじめ、全日本空輸、ダイキン等、様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。