週刊ダイヤモンド 2007年、43年ぶりに文部科学省による全国一斉学力テストが行なわれ、話題になったのを覚えていますか。

 あのテストの結果を受けて文部科学省がコメントを出しているのですが、小学6年生向けの「算数A(知識に関する問題)」については、「相当数の児童が今回出題している学習内容をおおむね理解していると考えられる」と結論づけています。実際、算数Aの平均正答率は82.1%。平均で19問中15.6問が正解でした。

 今どきの子どもたちの学力は低下していると言われているが、それほどでもないのか──。そう感じるかもしれません。

 では、問題を見てみましょう。1問目は「28+72」。念のため繰り返しますが、これは小学6年生向けのテストです。第1問を見れば全体のレベルはわかるでしょうが、参考までに最終問題も紹介しましょう。

 「16cmのひもを使って長方形を作ります。タテの長さが3cmのとき、ヨコの長さは何cmになりますか」

 こんな簡単な問題ができたところで、「おおむね理解している」と手放しで喜ぶことはできません。2006年に発表された国立教育政策研究所の調査では、「3+2×4」という計算問題を小学6年生の4割強が間違え、漢字の「挙手」「改行」「子孫」などの読みを小学4年生で2割弱しか読めないという結果が出ています。

 最近では、経済協力開発機構(OECD)の「学習到達度調査(PISA)」の2006年調査結果で、日本は数学的リテラシー16位、科学的リテラシー13位、読解力12位と、決して世界のトップレベルとはいえない成績に沈んだことが報道されました。