――同じ本でも求める要点は人それぞれ異なるわけですね。
だからこそ最初に目次を読み込んで、ポイントを抜き出す作業が大切なのですが、要点を簡潔に理解するためには、最近増えている「マンガでわかる◯◯」といったビジネス書の解説本が非常に有用だと感じています。
正直なところ、最初はビジネス書をマンガで読むのは抵抗があったのですが、実際に読んでみると非常に効率的に要点がまとめられているものばかりで、これほど参考になる副読本はありません。
理想の流れとしては、目次を読んで気になるポイントを複数見つけた上で、マンガ版からそれがどういう悩みにアプローチする本なのかを理解し、その上で原典を読み込むことですね。これが最も効率的に内容を咀嚼できるやり方だと思います。
――本を読んでいる最中、メモの取り方などで工夫していることはありますか。
アナログですが、まずは気になるページに折り目をつけたり付箋を貼ったりしています。そして、そのページの記述で気になったこと、感じたことなどを、スマートフォンでEvernoteなどのアプリにメモしていくんです。このメモのつけ方自体にルールは一切なく、自分の感想をそのまま書いたり、あるいは本文の中にあるフレーズを抜き出して書き留めておいたり、様々です。
読書時間を確保するために必要なこと
――サラリーマン生活と平行しながら、動画制作はどのように行っているのでしょうか。
平日のうちに読書を終えて、土曜日に1日かけて作業を行うようにしています。朝からシナリオを書き始めて夕方までに仕上げるという、9時~17時勤務と同じようなペースで作業しています。
私の場合はこのシナリオが制作の肝で、動画の中で話している言葉はほぼすべて、そのまま文字化されているんです。「――ですね」といった語尾ひとつをとっても、実はあらかじめシナリオに書かれているんです。
そのため、シナリオさえ完成すれば作業の大部分を終えたに等しいのですが、常に自分が面白いと思った作品を選んでいるため、どうしてもシナリオが肥大化しがちなのがネックです。削りに削って、できるだけ簡潔にする作業に1日かけていると言っても過言ではありません。
――多忙な生活の中、読書時間をいかに捻出するかもサラリーマンの大きな課題です。
私は電車の中やランチタイム、就寝前といった隙間時間を活用していますが、おそらくこれは多くの皆さんと事情は変わらないでしょう。
私の場合でいえば、通勤時間がおよそ30分で、乗り換えにかかる時間などを差し引けば、通勤時に本を読める時間は正味15分程度。ここでネックになるのはやはりスマホの誘惑で、ちょっとした隙間時間についSNSを見てしまったり、だらだらネットサーフィンをしてしまったりすると、読書にあてる時間がなくなってしまいます。
そのため、強い意思をもってスマホを手にせず、とにかく本を開くことが大切だと思います。ページを開きさえすれば、読書は始まりますからね。もっとも、現代人にはこれがなかなか難しいのですが……。
――最後に、サラタメさんがYouTubeを続ける目的、そして今後の目標とは?
こうしてYouTubeをやっていると、ときに思いがけない回が再生数を稼いでくれることがあります。しかし、コンセプトはあくまで「サラリーマンのためになる」ことであり、自分が面白いと思った本を伝えることが目的です。そのため、あまり再生数を追い過ぎず、大きく伸ばすことよりも末永く楽しんでいただけることを重視しています。
私にとってYouTubeは、かつて学校で「この本、すごく面白かったよ!」と友達に話していたようなことを、より多くの皆さんと共有できるツールです。私自身がかつてブラック企業に勤めていた頃に、『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』という本に出合って生き方を再考したように、より多くの人にとって本から何かを学ぶきっかけになれば嬉しいですね。