2つ目が、意見を出せていないメンバーへの気配りです。チャットで「○○さんは、どう思いますか?」など、あまり意見を出せていないメンバーを気遣うコミュニケーションをするようにしています。チャットを活用すれば、話すのが苦手なメンバーの意見も拾うことが可能です。「この案件なら、○○さんにも確認した方がよさそうですね!」など、言語化できていないことを気軽にチャットで出してもらうようにして、議論の活性化を図っています。

 3つ目は、ファシリテーター自身が事前準備を入念に行うことです。やはり準備をしていないと、ファシリテーターのなかでも意見がまとまっていないことで、どこに議論を落とし込むかが曖昧になり、進行がしづらくなってしまいます。その結果、議論が停滞したり、誰が話せばいいのか分からない沈黙が起きたりしてしまい、参加者の心が離れるのは、もったいないことです。

 では、事前準備にはどのようなことが必要なのでしょうか。ファシリテーターがしておくべき準備について、詳しく説明していきましょう。

「出発点」「到達点」を決める

 オンライン会議の準備としてまずすべきことは、出発点と到達点を決めることです。「議論をどこから始めるべきなのか」「会議でどこまでの結論を出すことを目指すのか」、この2点を考えます。

 意外と到達点を明示できていないまま、なんとなく開催される会議は多いと思います。しかし、ゴールが決まっていないままだと、何についてどこまで議論すべきか分からず、オンライン会議特有の沈黙も起きやすくなってしまいます。

 例として、商品の売り上げを回復させるために対策を話し合うケースを考えてみたいと思います。議論を次の4つのステップに分類すると、出発点・到達点をイメージしやすくなるでしょう。

(1)場の目的の共有「何の話を、なぜここでするか」
(2)アクションの理由の共有「なぜそうするのか」
(3)アクションの大きな方向性の合意「どうするのか」
(4)具体的な実行プランの共有「具体的に、誰がいつまでに何をするのか」

議論の出発点と到達点を明確にする議論の出発点と到達点を明確にする(出典:グロービス学び放題「ファシリテーション」
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