私の場合は、図のように論点を構造的に整理しておいて、参加者に話してもらうことで出てきた論点をそれぞれに当てはめて整理しています。
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ここで大切なのは、参加者の声を全て尊重してあげること。「これはちょっと違うよね」などと言って、出てきた意見のメモをしないファシリテーターもたまにいますが、オンラインの場合は特に、参加者の意見を尊重しないと彼らの心が離れやすくなり、画面上で別のことを始める人が出てくる恐れがあります。
一方で、出た意見を大切にするだけでは、論点のズレが生まれる恐れもあります。議論していくうちに話題が広がってしまって、収拾がつかなくなった経験はありませんか? 論点のズレはファシリテーターでも気づきにくいので、常にチャットに書いた到達点を意識して考え、話しましょう。
会議が始まって10分ぐらい過ぎたら、議論のズレを修正することを意識しましょう。
「すみません、追い付いていないのですが、今の議論は○○という到達点に向かっていますかね?」と投げかけてみます。こうして周りに助けを求めるようにファシリテーションをしていくと、角が立たない円滑なコミュニケーションができます。ファシリテーターの論点のズレを指摘するのは、勇気がいることだからです。
ただ、論点のズレに気づくのは正直難しいので、最初は軽い気持ちでファシリテーションしていくのがよいと思います。気楽に構えないと、客観的に議論を俯瞰できなくなります。あくまでも参加者の意見をまとめて、到達点に導いていく役割を全うしましょう。
慣れていないと大変かもしれませんが、論点の整理も当日の進行も練習あるのみです。議論を適切に行うことで、チームが離れていても合意形成がしやすくなります。ファシリテーションの力を駆使して、それぞれの職場でリーダーシップを取れる人が増えることを願っています。
(グロービス講師 朱子青、取材・構成/吉田 瞳)