マナーやルールにとらわれず、今どうすべきかと考える

―― アテンダントは臨機応変の対応力が求められると思いますが、ハプニングや、ハラハラしたことはありますか?

諏内 ある祭典で、政治家の小沢一郎先生のご一家をご案内した際、あいにく稀に見る大雨でハイヤーの降り場も水浸しとなり、いらっしゃる直前に降車場所を急きょ変更したことがありました。
元の位置でお待ちしていた私は当然水浸し(笑)変更はしたものの、それはそれは酷い雨でしたので、ご家族がハイヤーから降りられたほんの一瞬で、みなさまもびしょ濡れになってしまって。

即座に判断しVIPルームへご案内させていただき、祭典のノベルティグッズであるTシャツをご用意しました。それは、小沢家の方々には全くふさわしくない絵柄のものだったのですが(笑)、奥様にも御子息お二人にも「このような物しかございませんが、もしよろしかったら」とお渡ししました。

お召しくださったか? はい、全員ちょっと笑ってしまうようなイラストのTシャツでアテンドさせていただきました!

『「育ちがいい人」だけが知っていること』<br />の著者ってどんな人?

失敗談としては……アテンド後に、「あ、間違えて申し上げてしまった」と思い出し反省したことは何回かあります。「おいでになられました」、「お召し上がりになられますか?」といった二重敬語、三重敬語などだったでしょうか。これらはマナー違反というほどではなく、気持ちがこもっていることが伝わるため、一般的にはそれほど気になさらない方も多いですが、言った本人は後々気にしてしまうんですね。

そういう場合、ハッと気づいた時点で「先ほどは失礼いたしました」とお伝えした方が、お互いスッキリします。その後ずっと気にしたまま業務を続けることになりますし、「間違えたことに気づいていない」と相手の方に思われてしまったら、信頼を損ねる可能性もあるからです。

些細なことは気になさらない方もいるでしょうけれど、自分が気にしているとやはり落ち着きませんから、気づいたら早めにお詫びすべきというのはその頃に覚えたことです。