確かに、コロナ禍で、世界の自動車各社の売り上げが落ち込み、赤字に転落する企業が増える中、テスラの業績の底堅さが目立つ。

 もっとも、テスラは昨年前半までは赤字続きだった。2018年には突如として株式の非公開化を表明し、証券詐欺の疑いで米SECに訴えられたこともある。

 EVベンチャーとして自動運転技術も先行させるなど話題が多い半面、財務面では「危うい」企業という見方も多かった。

 それが、このコロナ禍の状況下でテスラは躍進した。その支えとなったのが、いち早くコロナの感染拡大局面から抜け出した中国での現地生産だ。

 テスラは19年末に上海市で生産能力20万台の現地工場を稼働させた。これにより、4~6月の中国での販売が3万1000台と前年同期の約3倍に伸びたのだ。

 詳しくは後述するが、「排出規制信用」と呼ばれる二酸化炭素(CO2)排出枠(クレジット)売り上げ収入が増加していることが黒字達成の要因となっている。4~6月期のクレジット販売は前年同期比で約4倍の4億2800万ドルを計上していることが大きい。

テスラの躍進は
「本物」なのか

 今や、世界のトップEVメーカーとなったテスラの躍進は“本物”なのか、“あだ花”なのか。いまだ未知数の要素も秘めていると見ている。

 ここで改めてテスラの概要を説明しよう。

 テスラは、電気自動車(EV)のベンチャー企業。周知の通り、南アフリカ出身の米起業家のカリスマであるイーロン・マスク氏が率いる。2003年の創業で米シリコンバレーを拠点に、かつてトヨタと米GMが合弁生産していたフリーモント工場の跡地を活用して生産拠点とする。また、EV用バッテリーは、米ネバダ州にある日本のパナソニックと提携する「ギガファクトリー」の電池工場から調達している。2008年にスポーツカー仕様のEV「ロードスター」を皮切りに高級セダンの「モデルS」、SUVの「モデルX」から小型量販車の「モデル3」と投入が続いた。

 さらに、今後のEVモデルとしてコンパクトSUVの「モデルY」に商用車用のEVトレーラーヘッドの「セミ」、ピックアップトラック「サイバートラック」も発表しており、乗用車から商用車に至るまで幅広くEVバリエーションを整える計画だ。