新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学から心理学までさまざまな資料や取材を元に、「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー、「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を紹介する。
子どもはそもそも「書き方を知らない」
文章を書く力は、受験や就職、そして社会に出てからもプレゼンテーションの作成やスピーチなどに役立つ強力な武器になります。
ところが、日本とアメリカの小学校で作文指導の比較を行なった名古屋大学の渡辺雅子教授によると、日本の国語の教科書には作文の方法を扱った章はなく、教師へのインタビューでも「特定の文章の書き方を正式に教えることはない」との回答だったそうです(『納得の構造』東洋館出版社)。
親は原稿用紙に向かう子どもに向かって「好きなことを書けばいい」と言いがちですが、そもそも子どもたちは「どう書くか」を知らないのです。
一方、アメリカでは、渡辺教授の調査に協力した教師全員が、国語を教えるいちばんの目的は「書く技術と能力を高めること」だと口をそろえて答えたそうです。
立命館小学校国語教育アドバイザーで、名進研小学校国語科の顧問も務める岩下修氏は「吸収した言語をいかにアウトプットするか、その能力が固まるのは8歳前後」と述べ、「それまでにきちんとした作文指導を受けて構成力や表現力を身につけておけば、その後もスムーズに作文を書くことができる」といっています(『書けない子をゼロにする作文指導の型と技』明治図書出版)。
では、作文を書けるようになるには、どうすればよいのでしょうか?
【コツその1】型を使う
渡辺教授によると、アメリカではとくに説明文のような文章では、早いうちから明確な三部構造を教えるといいます。
・「はじめ」の段落:「まずこの作文で何をいうのか?」をはっきりさせる。
・「なか」の段落:「はじめ」の主張を支える理由を3つ挙げる。
・「まとめ」の段落:「はじめ」での主張を少し表現を変えてくりかえし、結論とする。
小学生への作文指導経験が豊富な岩下氏も、説明や報告、記録、論説を書くときは、「はじめ」→「なか」(2つ書く)→「まとめ」を基本の型にするように教えると、子どもたちは理解しやすいといっています。
「はじめ」には「何について書くか」を書き、「まとめ」には「なか1」と「なか2」を書いて気づいたこと、わかったことを書くように指導しているそうです。
たとえば「学校で好きな場所」をテーマにした場合、以下のような構成で考えることができます。
・「はじめ」:わたし(ぼく)の好きな場所を紹介します。
・「なか1」:一番好きな場所は……
・「なか2」:二番目に好きな場所は……
・「まとめ」:どちらも広い場所です/どちらも自分が落ち着ける場所です(「なか1」と「なか2」の共通点からまとめる)。