「1冊15分」が基本

 インターネット検索で「本 速読」と入力すると、数百万件ヒットします。読書における速読のニーズがそれだけ高いのでしょう。

 確かに、大量の情報が載っている本を短時間で読むことができたら便利です。本を読み切る時間が短くなればなるほど、多くの本を読めるので、頭もよくなりそうです。

 しかし私は、「速読はできなくてもいい」と考えています。重要なのは、「どれだけ読まないで済ませるか」です。

 ただし、情報を得ただけではダメで、その情報を現実世界で実践して、問題の解決に結びつけなければ意味はありません。

 問題解決のための読書で重要なことは、「全部読む」ではなく、「どこを読むか」です。情報の取捨選択が大きなポイントとなるのです。つまり、速読法を身につけなくても、速く読むことはできるのです。

 それでは、最初から最後まで読まないのであれば、どの時点で「読了」したといえるのか?

 私は、「問題解決に必要な情報を得られた瞬間」を読了と定義しています。

 専門書やビジネス書、実用書などは自分の問題を解決するために読むことが、特に多いはずです。そういった本を読むときに大切なことは、いかに合理的に読むかでしょう。

 最初から最後まで全部読んで「読み終わった」という達成感を得たとしても、そこから得られた情報を使いこなせていなければ合理的とはいえません。その反対に、数ページ読んだだけでも、自分自身の問題解決やスキルアップにつなげられたら、合理的な読み方といえます。

 そんな合理的な読書を追求してきた私は、1冊の本をおおむね15分くらいの時間で読了できるようになりました。

 娯楽目的のためでない本を読む場合、「問題解決」というリターンを本からどれだけ得ることができたのかが、読書効率を決めていきます。

 ではどうすれば、読書のリターンを最大化できるか。さまざまな方法を検証し、合理化を追求した結果、最も効率的に読書ができるフレームワークを編み出すことができました。そのヒントは、学生時代に学んだ科学実験の技法にありました。