ただし、日本の商社はビジネスの実質が「貿易・商業機能付きの投資会社」に近付いているので、潤沢な配当を行うことができる資金力は魅力的に映ったかもしれない。「商社は、これからもっと有効な投資ができるはずだ」という期待を持っている可能性はあるのではないだろうか。

 高配当利回りという意味では、地方銀行はもちろん、メガバンクでも配当利回りが高いが、バフェット氏から見て、彼らのビジネスが魅力的ではなかったのだろう。

バフェット氏が商社株に投資した理由
(2)割安株

 総合商社株は、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)のいずれで見ても株価が割安な株だ。

 旧来のバフェット氏の投資法から想像すると、特に重要なのはPBRの方だろう。伊藤忠は1倍を上回っているが、三菱商事、丸紅は0.7倍台、三井物産も0.8倍台、住友商事に至っては0.6倍代と、株価は1株当たり純資産を大きく下回る。

 もちろん投資に当たっては、各社の資産の実質価値と、特に投資先の企業やプロジェクトの価値を調べたに違いないが、バフェット氏の昔からの割安株投資の考え方から見て、日本の総合商社株はフェアバリューに対しての「セーフティーマージン(安全帯)」がそこそこに大きく見えたのではないだろうか。

バフェット氏が商社株に投資した理由
(3)資源株

 日本の総合商社の株価評価がいまひとつ高くない理由として、彼らのビジネスの大きな部分が資源関連で、資源価格の影響を受けやすいことが挙げられることが多い。複数の商社で、非資源ビジネスのシェア拡大を経営者は課題に挙げる。

 バフェット氏の立場では、資源に投資したければ、資源を扱う企業に直接投資することができる。従って、資源関連株であることが日本の商社の魅力の1つだったとは考えにくいが、商社株への投資を「資源関連への投資でもある」と、ある程度は考えているに違いないだろう。