新型コロナウィルスの影響で外出時間が減った今年、なんとなく日々重たいような気分を感じているという人も多いのではないだろうか。そんな中、世界最高の創造集団IDEOのフェローによるきわめて画期的な本が上陸した。『Joyful 感性を磨く本』(イングリッド・フェテル・リー著、櫻井祐子訳)だ。
著者によると、人の内面や感情は目に映る物質の色や光、形によって大きく左右されるという。つまり、人生の幸不幸はふだん目にするモノによって大きく変えることができるのだ。
本国アメリカでは、アリアナ・ハフィントン(ハフポスト創設者)「全く新しいアイデアを、完全に斬新な方法で取り上げた」、スーザン・ケイン(全米200万部ベストセラー『QUIET』著書)「この本には『何もかも』を変えてしまう力がある」と評した他、アダム・グラント(『GIVE & TAKE』著者)、デイヴィッド・ケリー(IDEO創設者)など、発売早々メディアで絶賛が続き、世界20か国以上で刊行が決まるベストセラーとなっている。その驚きの内容とはどのようなものか。本書より、特別に一部を紹介したい。

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「季節の移り変わり」を喜びに変える

 日本人は予期の時間をつくることに長けている。日本人が楽しみに待つ季節は4つだけでなく、72もあるのだ。日本古来の暦では一年を「七十二候」に分けた。

 各候は約5日間で、環境の小さな変化を表す名前がついている。

 3月の「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」は冬の終わりを告げ、少しあとに「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」がある。

 6月には「梅子黄(うめのみきばむ)」があり、10月には「鴻雁来(こうがんきたる)」「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」がある。

 こうした名前を見ていると、新生の感情を呼び起こす、季節感あふれる瞬間がほかにも頭に浮かんでくる。

 地面を真っ白に覆う初雪や、4月の土砂降りの雨、朝焼け、そして金色に輝く収穫の月。寒くて初めて暖炉に火を入れる日や、暖かくて上着がいらない初めての日、夏の夜の庭に初めてホタルが姿を見せる日にも、喜びがある。

 こうしたかすかな移り変わりを通じて興奮を重ねていけば、周期的な予期の時間を生活にどんどん取り入れることができる。

 地球の周期との関係を密にすることは、自然との関わりを取り戻すことと同じくらい、単純なことだ。

 産地直送と地産地消の運動は、作物の生育周期に対する意識を高め、食品産業が見過ごしがちな在来種の野菜を見つける喜びや、好きな野菜の短い旬を心待ちにする楽しみをもたらしている。近年の地域支援型農業(CSA)や農産物直売所の増加により、ずっと多くの人がこの喜びを得やすくなった。大量生産食品でさえ、季節限定版に旬の素材を取り入れ始めている。

 またもちろん、ガーデニングは周期への意識をおのずと高める。とくに毎年生えてくる多年草があると、季節の変化を意識するようになる。室内植物にも独自の周期がある。私の好きな室内用鉢植え植物の一つは、クロカタバミというシャムロックの一種で、毎朝紫の葉を開き、日の入りとともに葉を閉じる。

 季節にちなんだクラフトや儀式、たとえばハロウィンのカボチャをくりぬいたり、クリスマスのライトやオーナメントを家に飾るのも、こうした喜びの源になる。