リーダーシップにもライフサイクルがある

 人生には、青年期、成人前期、成人後期(中年期)、老年期といったライフサイクルがあり、それぞれのステージごとに生き方を変えていく必要がある。社会にデビューしたばかりの青年期と、仕事で成果を出し組織内で信頼を得られるようになってきた成人前期では、求められる働き方も違ってくる。

 それと同様に、組織にもライフサイクルがあり、組織のライフステージにふさわしいリーダーシップを発揮することが求められるのである。

 そこで参考になるのが、心理学者のポール・ハーシーとケネス・ブランチャードが提唱したリーダーシップのライフサイクル理論だ。その理論では、部下の習熟レベルによって効果的なリーダーシップ・スタイルが違ってくるとし、組織の成熟度を4つのステージに分け、それぞれのステージにふさわしいリーダーシップ・スタイルを推奨している。まず、各ステージとそれにふさわしいリーダーシップ・スタイルを示してみよう。

  第1ステージ → 教示的リーダーシップ・スタイル
  第2ステージ → 説得的リーダーシップ・スタイル
  第3ステージ → 参加的リーダーシップ・スタイル
  第4ステージ → 委譲的リーダーシップ・スタイル

 これについて、ごく簡単に、そしてわかりやすく解説していこう。

(1)部下の習熟度が低い、つまり集団としての成熟度が低い第1ステージでは、指示的な行動を中心とした「教示的リーダーシップ・スタイル」が有効となる。すべきことをテキパキ指示するのだ。この段階で、部下の自主性に任せようとしたり、部下の判断を尊重しようとしたりしても、混乱が生じる可能性が高い。
(2)部下が多少習熟し、集団としての成熟度が多少高まった第2ステージでは、指示的な行動が中心とはなるものの、部下の気持ち面にも配慮する「説得的リーダーシップ・スタイル」が有効となる。一方的に指示するのでなく、納得して動いてもらうように働きかけるのである。まだみんなが十分には習熟していないため、きめ細かく指示を出して動かす必要があるものの、ある程度できるようになっていることもあるため、言われた通りにやればいいという強引な感じでは、部下たちのモチベーションが下がってしまう。そこで、指示を出す際に、なぜそうすべきなのかを説明し、疑問や意見にも耳を傾け、納得して動いてもらう形でリーダーシップを発揮するのである。
(3)部下の習熟度が増し、集団の成熟度が高まってきた第3ステージでは、部下の仕事力が高まっているため、指示的な行動は減らし、ある程度自主性に任せて、部下のモチベーションを高めることを重視する「参加的リーダーシップ・スタイル」が有効となる。指示を減らし、部下の判断に任せる部分を増やすのだ。部下たちもそれなりに仕事に習熟してきているため、自主性を尊重されることにより、不安や戸惑いよりも充実感や責任感が高まり、やる気をもって仕事に取り組めるようになる。
(4)部下が十分習熟し、集団が機能するように成熟している第4ステージでは、部下の自主性や自律性を尊重し、自由裁量を大幅に認める「委譲的リーダーシップ・スタイル」が有効となる。仕事に習熟している部下たちは、自分たちの判断ややり方に任せてもらうことで、やる気も自覚も高まり、よりいっそう力を発揮することが期待される。