面接官が重視すべきなのは「育成不可能な要素」

 ダンスレベルやボーカルレベルは表現者として活躍するための必須要件だ。しかしあくまでもそれは、現時点までの努力の結果でしかない。つまり、たとえ今、スキルが及ばなくても、トレーニングを重ねて後天的に伸ばすことができるものでもある、と言える。

 それらと同等かそれ以上に採用で大切にすべきなのは、「後天的に伸ばすことが難しいスキルや個性」だ。言い換えればそれは育成不可能な要素を備える人材を採用し、育成可能なものについては時間をかけて育てていくということでもある。若い人材の採用ではなおさら、こうした観点が欠かせない。

 短期的に活躍してほしい人材は、現時点のスキル(即戦力)を重視すればいいが、中長期的に人を育成するなら、評価すべきは目の前のスキル以上に、この先育成することの難しい要素にある。そのポテンシャルを重視することこそ採用では重要なのだ。

 Nizi Projectで求められていた「後天的に得難い人材要件」とはキューブの4つの要素のうち、「スター性」と「人柄」だろう。これはいくらトレーニングを重ねても鍛えることが難しく、本人がこれまで生きてきた中で育まれてきたものに頼るほかない。

 スターに「なる」ためには、「スター性(自ら輝きを放つ力)」が必要になるし、スターで「あり続ける」ためには、「人柄(他者に輝かせてもらう力)」が必要になる。長く愛され続けるスターを見抜くための必須要素が、「スター性」と「人柄」というわけだ。